憚り

オン・ザ・ミルキー・ロードの憚りのレビュー・感想・評価

3.5
鳥、爆撃、バルカン音楽、結婚式の祝砲、揺れるウエディングドレス、燃える亡骸、宙を舞う花嫁。無茶苦茶な祝祭感とドライな諦念。お馴染みのモティーフ、いつもの肌触り。
それなのに、いつになく哀愁を感じてしまうのは何故だろう。

モニカ・ベルッチ演じる「花嫁」に名前はない。ならば彼女は『ジプシーのとき』のアズラであり、『アンダーグラウンド』のナタリア/エリナであり、『黒猫・白猫』のアフロディタ/イダでもある。自ら主役を務めるクストリッツァと「花嫁」のダラダラとした逃避行は、さながら監督と代表作による老いからの逃亡にも見えてしまう。
ラスト、地雷地域への敷石は監督自身による傑作群の埋葬なのか。

まだ引退とかしないよね、たのむよ。