ゴロゴロゴロー

オン・ザ・ミルキー・ロードのゴロゴロゴローのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

戦争中の前半、花嫁(モニカベルッチ)の登場、束の間の休戦、ゲリラによる村人のジェノサイド、追手からの逃避行、花嫁の死、そして15年後、という流れ、、戦争シーンや宴のシーンはアンダーグラウンド的な祝祭性とカオス、特に主人公(クストリッツァ本人)のガールフレンドのイカレ具合はアンダーグラウンドのヒロインと近い、、あとは基本的には動物映画、、ハヤブサ、ロバ、牛、アヒル、蛇、、それぞれ重要な役割を持っている、、逃避行以降のシーンはクストリッツァ的な癖がほとんどなくて、ある意味観やすい、、色彩の禍々しさみたいなものが薄れているからか、あるいは戦争的な主題が抜け落ち、個々人の逃避行という普遍的なストーリー展開になるからか、、民族や紛争というテーマはやはり日本人的には容易にすんなりとは入れないものかもしれない、、あとは全面的には表出してないが、やはり信仰的テーマもバックボーンで常に動いている、、蛇がミルクを飲むシーンは聖書になぞらえた奇跡とされ、主人公の運命を左右する重要な装置である、、主人公はミルクを飲んで大蛇にまで成長した蛇に命を救われるが、花嫁は救われなかった、、彼女が蛇を受け入れていれば地雷で死なずに済んだ、、つまり、これは信仰をもつかもたないかの問題、信じる者は救われるということだろうか、、花嫁が死んだ後、15年後のラスト展開は、個人的にすごくよかった、、どこか異端的な匂いのする宗教建築の中で礼拝を済ませた主人公は、石切作業場から石を持ち出し、一人山頂に赴き回想する、、そして山を下りて、ヒロインと無数の羊たちが死んだ地雷のフィールドに赴き、石を並べていく、、この15年間でフィールドは彼の石によってそのほとんどが埋め尽くされた、、残るは中心部のあと少しだけ、、石は中心から放射状に置かれていったのではなく、周縁から中心に向かうようにして、配置されていった経緯がみてとれる、、拡散ではなく収束、、これは彼の命のリミッター、期限であり、全てを石で埋め尽くした暁に主人公は花嫁のいる天国へと旅立つ、、