キッチー

オン・ザ・ミルキー・ロードのキッチーのレビュー・感想・評価

3.6
映画「アンダーグラウンド」の エミール・クストリッツァ監督が監督・脚本・主演までこなした意欲作。今作も戦時下の人々を描いていますが、特定の国の出来事ではなく、架空の国の話らしい。

休戦、交戦、そして終戦と状況は変わっていきますが、前半は戦争中とは思えないのどかな場面もあり、ガチョウや羊、熊とかも出てきたり、なかなかのんびりした雰囲気もありました。ミルク飲む蛇や白い蝶とかファンタジー要素もあるのかな~。

物語はそんな村でミルク運びやっている男性コスタ(エミール・クストリッツァ)と他の土地からやってきた女性(モニカ・ベルッチ)との愛と逃避行を描いた話です。女性を追ってくるのが武装した男たちなので、後半はうって変わった展開に目が離せませんでした。

しかし、コスタの最初の格好はちょっと滑稽でしたね。雨傘をさし、肩にペットのハヤブサを乗せてロバに乗り、銃弾が飛び交う中をミルク缶を運んでいくって、ちょっと普通じゃない(なんかよくわからないおっちゃん)です。
もっとも村の飲み屋で酒を飲んで騒ぐ人々が、拳銃バンバン撃ちながら盛り上がっていく様子も普通じゃないのですが...(笑)
なんか何でもありな感じがしましたね。
そういえばフラッシュダンスの曲が流れるシーンもあったり、時にグロいシーンもあったり。
いい意味で自由に作っているようで、面白かったです。音楽もなかなかでした。

ラストシーンも何か意味がありそうな感じがしました。なんとなく途中の羊のシーンにも似てましたが、結局、よくは解らないんですけどね...
反戦へのメッセージはあるんでしょうね。たぶん...ですが。不思議な余韻のある作品でした。
キッチー

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