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オン・ザ・ミルキー・ロードのdeadcalmのレビュー・感想・評価

3.5
「アンダーグラウンド」のクストリッツァ新作は完全にカルト映画だった。ひたすらクセが凄い。バカバカしいギャグシーンと予想外にエグい暴力的シーンと雑な CG 処理と宗教的寓意と猥雑なバルカン音楽が、独特の死生観を反映した少々共感が難しいストーリーを彩る。どこまで狙ってるのか読めない。監督兼主演のクストリッツァの演技も、感情表現に乏しくただ大根なんだかそういうキャラ演出なんだかよくわからない。っていうか全員何考えてるんだかよくわからない。
中盤でやたらダラダラしたシーンが続いたかと思えば、突然スイッチが入ったかのように訪れる壮絶な地獄展開。脈絡とか条理を文字通り木っ端微塵に吹っ飛ばす無茶苦茶なラスト。
もうこれ完全にカルト映画の楽しみ方になっている。基本がツッコミ待ち仕様。一方でときどき異様に美しいシーンも出てきて反応に困る。 (ラストカットなどは素直に好きだと言える)
クストリッツァはいわゆるアート・ミニシアター系のカテゴリにいる巨匠のイメージだったけど、ほんと一筋縄ではいかない人でもあったのを思い出させられた。
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