オン・ザ・ミルキー・ロードの作品情報・感想・評価 - 38ページ目

オン・ザ・ミルキー・ロード2016年製作の映画)

On the Milky Road

上映日:2017年09月15日

製作国:

上映時間:125分

3.8

あらすじ

物語の舞台は、戦時中のとある国。主人公コスタ(エミール・クストリッツァ)は、毎日ロバに乗って銃弾をかわしながら前線の兵士たちにミルクを届けている。コスタは村の人々に慕われ、戦争が終わったら穏やかな将来が待っているように思われたが、ある日、村で一番の英雄・ザガ(プレドラグ・“ミキ”・マノイロヴィッチ)の花嫁になるために現れた謎の美女(モニカ・ベルッチ)と出会い、激しい恋におちる。その女性のある過去…

物語の舞台は、戦時中のとある国。主人公コスタ(エミール・クストリッツァ)は、毎日ロバに乗って銃弾をかわしながら前線の兵士たちにミルクを届けている。コスタは村の人々に慕われ、戦争が終わったら穏やかな将来が待っているように思われたが、ある日、村で一番の英雄・ザガ(プレドラグ・“ミキ”・マノイロヴィッチ)の花嫁になるために現れた謎の美女(モニカ・ベルッチ)と出会い、激しい恋におちる。その女性のある過去によって、村は襲われてしまい、2人の逃避行がはじまります。

「オン・ザ・ミルキー・ロード」に投稿された感想・評価

ごてふ

ごてふの感想・評価

4.2
日比谷シャンテ・シネにて。クストリッツァ9年振りの新作に場所柄やや勤め人風の紳士多けれど客席は5割も埋まらない。都下単館、全国でも十指に満たない上映館は淋しい興行規模。まぁ娯楽作ではありませぬが・・・。お馴染みのアイテム・設定(動物・紛争・狂騒)とエネルギッシュな登場人物たち。≪アンダーグラウンド≫や≪ライフ・イズ・ミラクル≫の作風が踏襲されており、それは監督の真骨頂でありましょう。世界の何処かで常に繰り返される祝祭や爭い。禍福は糾える縄の如し。これは稀有な映像作家の想像力の産物であり、悪夢の映像化でもあり、悲惨な現実のメタファーかもしれず、そして崇高な祈りなのかもしれない。圧倒的なロケーションと洪水のようなサウンドトラックに心身酔った2時間でありました。
クストリッツァ作品をリアルタイムで劇場で観れるなんてオラァ幸せもんだ…。

舞台はまたしてもユーゴスラビア紛争を彷彿とさせるような戦時中のどこかの国。戦場にミルクを運ぶクストリッツァ監督自ら演じるコスタは、やってきた義理の兄の花嫁(になる予定の女)と恋に落ちる。しかしこの花嫁は敵国の将軍に命を狙われていてさあ大変!兵士に家を焼かれた2人は愛の逃避行に出ることになるのだが…。

飛び交う動物たち、悲惨な戦争、そこで暮らす人々の普通の暮らし、散りばめられたチャップリンばりの古典的なユーモア、野生的で民族的で情動的な音楽…。『アンダーグラウンド』、『黒猫・白猫』に続き、「いつものクストリッツァ節」が炸裂した、痛快でパワフルな作品。

この映画、いつにもまして動物たちの活躍が凄まじかった印象。お馴染みのガチョウの群れが冒頭で出てきたときからもう可愛くて笑っちゃったし、ヘビに襲われたコスタを助けようと後ろ足でコスタを蹴っちゃうロバや、相棒のハヤブサ、群れる羊など、みんなユーモラスで可愛い。この動物の演技がなくちゃ話が進まないのに、CGはほとんど使ってないっていうからすごい。

他の人のレビューでこの映画を、この世界の片隅にに似てるって指摘してた人を何人か見かけた。アンダーグラウンドもそうだったけど、確かにクストリッツァの映画は悲劇と喜劇が入り混じっていて、戦争の中で平然と続く日常を描いたり、シリアスなシーンの合間合間に笑いを挟んだりするよなあ。そこが逆にリアリティを感じて好きだ。

戦争を舞台にしていながら、戦争の生々しい人の生死はあんまりない。むしろ最後の羊の群れが地雷原を突っ切るシーンこそ、生々しい戦場のオマージュだったのではとも思う。戦争を舞台としながら直接的に戦場での悲惨さを描かないのは、映画を悲劇的にするのを避けているようにも思った。クストリッツァにとって戦争とは完全に悲劇一辺倒の映画で語り切れるようなものではないのかもしれない。

そして忘れてはいけないのが音楽。黒猫白猫とかも音楽は良かったけど、歌とかなかった気がした。今回はクストリッツァの息子が監修したオリジナル楽曲が山のように使われていて、みんなで戦争の歌を合唱するシーンは歌詞も相まってかなり良かった。今作で、独特の音楽世界にさらに磨きがかかった印象。クストリッツァもこの映画中に民族楽器を演奏するシーンがあって普通にうまい。

撮り方もなんか現代的になっていて、かなり驚いた。黒猫白猫とか引きが多くて雑多な背景がよくわかるなんというか古臭い(いい意味で)印象だったけど、今回はローアングルからのショットとか滑らかな映像も多くて今っぽいな〜〜って感じだった。クストリッツァの映画を観たことない人にも観やすいかも。

個人的にはヒロインより、婚約相手の女の人の方が可愛いと思ったんやけど、どうなのか。
クストリッツァを観よう!第4弾

気づけば、気まぐれにシリーズ化していた第3弾から約一年が過ぎていた…。なぜか同じ監督作を続けて観たくない性格なので笑、こんなにも開いてしまった。。
奇しくも今回クストリッツァの新作が出るということで、同監督の主な過去作が期間限定で上映、大作「アンダーグラウンド」の完全版も上映されている。
限定期間が短いことと、さすがに5時間映画を観ることはなかなか難しいので今回は諦めたけれど、観た方のレビューが読んでみたいなぁ。。


さて、今作。
主演はなんとエミール・クストリッツァ監督自身(音楽学校出身だが今は牛乳配達係のコスタ役)と「イタリアの宝石」と言われるモニカ・ベルッチ(難民村にいた所を戦争に巻き込まれた絶世の美女、花嫁役)→つい数年前”007スペクター”のダブル・ボンドガールでも話題になった。私はレア・セドゥより彼女の方が好みと書いた覚えが。。

とあることから、この恋におちた二人が戦火の中を逃避行する…という、またまたシリアスともコメディともつかない、人間賛歌なドタバタを繰り広げる。私がお気に入りの同監督作「ライフ・イズ・ミラクル」に近い感じ。

いつものように、動物達(豚、ガチョウ、ロバ、ハヤブサ、蛇、蝶、猫、羊、てんとう虫、熊…)が活躍。時にストーリーにも絡んでくる。

音楽もドンドン、ズチャ・ズチャ♫これまたお馴染み、ノー・スモーキング・オーケストラ…と思えば、おや?80年代の誰もが知るダンス映画のヒット曲が挟み込まれたりして。。

いつものながらのクストリッツァ節が炸裂で笑ったり泣いたり忙しいのだが、、
いつもと違っていたのはラスト。

どこか明るい終わり方がお決まりだったのに、、切ない。。

切ないよ。

エンドロールが終わっても私はできればしばらく席を立ちた
くなかった。。

架空の内戦地帯の話なので途中途中、人や動物が死ぬシーンはグロい所もあるし、やられる前にやる、みたいなえげつないシーンも。。
かと思えば、笑えたりほっこりするシーンもある。

でも、でも…クストリッツァが一番伝えたかったのはラストなんだろうな。


戦争×愛

極限状態に陥って、自分の存在自体が危ぶまれる時、
人は愛することでしかその存在を実感することができないんじゃないだろうか。。

こんな風に人を愛することって、今の時代の平和な日本にいたら不可能だろうな。

そういう意味で今作はファンタジーなのかもしれない。

モニカ・ベルッチの寄る辺ない眼差し、儚くて、、でも毅然とした生き様が好きだ。

観た後に、しばらく黙りこんでしまう作品。
しばらくしてから静かに誰かと語り合いたくなる…そんな作品。



追記

パンフレットを読んで合点が行くことがいくつかあったので、購入をお勧めします。
日比谷駅周辺は工事中で、劇場までちょっと迷いました。。
久しぶりのクストリッツァ。
ユーゴスラビア内戦をモチーフにした本作は、前半は彼が好んで描く結婚式を巡る喜劇、後半は愛の逃避行を描く悲劇。
素っ頓狂な人間たちも、沢山出てくる動物たちも、迸る命の炎を燃やしながら、等しく生きて死んでゆく。
ガチャガチャした人間たちが織りなす、可笑しくも愚かなドラマの、エキセントリックなテリングは健在。
相変わらず激しく観客を選びそうではあるが、好きな人にはとりあえず画を見ているだけでも至福の時。
ロードムービーとしてのロケーションも、実にフォトジェニックだ。
しかし天才クストリッツァも、もう62歳。
自ら演じる主人公の設定年齢は、たぶん2、30代なのだろうが、表情から滲み出る年齢が、過ぎ去った過去と、失われた命に対するノスタルジーと悲しみを感じさせる。
ブランクを感じさせない、寓意に満ちた秀作だ。
まさかクストリッツァ自身が最後のジェダイ・マスターになるようなとってもファニーな映画だなんてちっとも思わなかったわい
こんだけ無茶苦茶な映画作ってても夢と現実を混ぜ合うことなくきっちり別物として撮り分けるから私はクストリッツァという映画監督を尊敬してるんですよ
セルビア語監修:小柳津ブランキッツァさん、お名前を見た瞬間あんまり面白くって吹き出しちゃいました、ごめんなさい
shochan

shochanの感想・評価

4.5
2017年88本目の劇場鑑賞。
エミール・クストリッツァ監督が自ら主演し、
ヒロインにモニカ・ベルッチを迎えて贈るコメディ・ドラマ。
戦争が終わることなく続く国を舞台に、
前線にミルクを届ける配達人の男と村にやってきた美しい花嫁が繰り広げる愛の逃避行を、
エネルギッシュかつファンタジックに描き出す。
エミール・クストリッツァ監督9年ぶりの最新作。
描かれているのは、
王道とも言っていいメロドラマで戦火の中の恋である。
過去の作品でもおなじみでもある動物たちが、
本作でもたくさん出てきます。
特にハヤブサは奇跡のような“演技”を披露してくれます。
コスタが演奏するツィンバロムのリズムに合わせてひょこひょこ動く姿がめっちゃ可愛いかった。
あるシーンのCGが露骨だったのは笑えます。
ヒロインのモニカ・ベルッチはイタリアの宝石と称されただけあって52歳になってもまだ奇麗。
クストリッツァ監督のエネルギッシュな演出は健在でした。
「あ、そういう映画なんだ」
って5回くらい思って、
「あ、そういう映画じゃないんだ」
って5回くらい思った。
で、どういう映画って聞かれたら、
「クストリッツァにしか撮れない映画」
って答える。

クストリッツァが怒られてないんだから、みんなもっと無茶していいのでは。

このレビューはネタバレを含みます

クストリッツァだし、「3つの実話と幾多もの寓話に基づく」なんていう最高の文言で幕開けだし、いやがおうにも期待せざるを得なかったんだけど、前半は良いとして、後半ちょっとグダってませんでした? モニカベルッチとイチャイチャしたかっただけじゃない?みたいなシーンもあって…
3

3の感想・評価

3.7
UNDERGROUNDと同じくカオス…というか、UNDERGROUNDじゃん、という気持ちが強かった。

全く違うテイストの作品を作り続ける監督と同じテーマで作り続ける監督がいるが、クストリッツァは明らかに後者。
どんちゃん騒ぎに戦争に恋愛に死に、人生の光も闇も全部放り込んでかき混ぜた二時間。

相も変わらずの世界観なので、おすすめします。
僕はこの監督の作品はアンダーグラウンドしか観ていませんが、たぶん作風としてドタバタガチャガチャしたいのでしょう。この作品もずっとドタバタガチャガチャしていました。
まともに動かない大きな時計や奇妙な振る舞いをする動物たちや誰に対する何のためだか分からない戦争など、この映画には人間には制御出来ないいろいろなものが出てきます。主人公(監督のクリストッツァ本人)をはじめとする登場人物たちは、その制御出来ないいろいろなことに振り回されながら、それでもなんとか人生をまともに動かそうと奮闘しています。
アンダーグラウンドでも感じたことですが監督自身の経験からか作品の中で取り扱われる死や戦争の描写は事実と同様に容赦がありません。一見笑いにあふれているような穏やかな日常にあっても死や戦争は突然降ってきてはそれまであったものをがらりとすべて変えてしまいます。

この映画ではいつも音楽が鳴っているのですが、その音楽も死や戦争によってしばしば中断されるんです。でもしばらくするとまた誰かが音楽を鳴らしはじめる。僕はこの映画のそういうところをとても好きになりました。

人間には制御出来ないいろいろなこと。
そうしたもろもろに諦め悪く何度でも立ち向かってドタバタガチャガチャもがく。そんな風なしぶとい映画です。