オン・ザ・ミルキー・ロードの作品情報・感想・評価 - 53ページ目

オン・ザ・ミルキー・ロード2016年製作の映画)

On the Milky Road

上映日:2017年09月15日

製作国:

上映時間:125分

3.8

あらすじ

物語の舞台は、戦時中のとある国。主人公コスタ(エミール・クストリッツァ)は、毎日ロバに乗って銃弾をかわしながら前線の兵士たちにミルクを届けている。コスタは村の人々に慕われ、戦争が終わったら穏やかな将来が待っているように思われたが、ある日、村で一番の英雄・ザガ(プレドラグ・“ミキ”・マノイロヴィッチ)の花嫁になるために現れた謎の美女(モニカ・ベルッチ)と出会い、激しい恋におちる。その女性のある過去…

物語の舞台は、戦時中のとある国。主人公コスタ(エミール・クストリッツァ)は、毎日ロバに乗って銃弾をかわしながら前線の兵士たちにミルクを届けている。コスタは村の人々に慕われ、戦争が終わったら穏やかな将来が待っているように思われたが、ある日、村で一番の英雄・ザガ(プレドラグ・“ミキ”・マノイロヴィッチ)の花嫁になるために現れた謎の美女(モニカ・ベルッチ)と出会い、激しい恋におちる。その女性のある過去によって、村は襲われてしまい、2人の逃避行がはじまります。

「オン・ザ・ミルキー・ロード」に投稿された感想・評価

なつめ

なつめの感想・評価

3.9

このレビューはネタバレを含みます

いつものようにアヒルやロバ、味わい深いお婆ちゃんが登場するも、思いのほかかなり戦争映画だった。映画館で聞く銃声はDVDと違って体力を削ってくる。楽しいパーティのあとのどかな三角関係が展開されるのかと思いきや、人が根こそぎ、ざっくり命を奪われてしまって言葉がなかった。残された者の悲しみを、戦争があった国の人たち一人一人が負っているということに圧倒される。みんなが羊飼いのおじさんの言葉を自分に言い聞かせて生きているのだろうと思ったら、エンドロールまできてから不意に涙がこぼれてしまった。

音楽映画でもあって、東欧のリズムと和声が効果的。ハイテンションな押しかけ彼女が危険な感じでよかった。
湯呑

湯呑の感想・評価

4.3
映画の冒頭、屠殺人が鳴き喚く豚を引きずり、首を切り落とす。溢れ出る血を容器に移すと、家鴨達が次々と血の中へ飛び込み、その白い羽が赤く染まっていく。鮮やかな色彩に溢れた本作で、一際目立つのはこの白と赤の対比である。この冒頭場面は、映画のクライマックス、地雷地帯を進む白い山羊達が次々と爆死し、血と臓物を撒き散らす場面と連携しながら、無垢な存在(白)が理不尽な暴力(赤)に蹂躙される様を象徴的に描き出す。しかし、果たして白と赤は対極に位置するのであろうか。屠殺人が豚の血を容器に移す姿は、主人公とその恋人が山羊の乳を容器に移し換える姿と鏡像関係にある。実は、彼らの中にある無垢そのものが、暴力的な死を招き寄せているのではないか。ミルキーロードを歩む主人公が配達するのは、白いミルクだけではない。思えば、主人公は最終的にその愛を拒絶した花嫁候補に、輸血という方法で、自らの血を移し換えていたではないか。彼は、血にまみれた大地に白い石を敷き詰める事で、自身が血の配達人であった事実を隠ぺいしようとする。和平条約が締結され、束の間の平和が訪れた大地の下には、禍々しくも赤い血が湧き出る予感が潜んでいる。白は、いつでも赤に染まる予兆をはらんでいるのだ。
カツマ

カツマの感想・評価

3.6
運命の歯車に導かれ破滅的なラブストーリーはどこへ行く?クストリッツァ監督らしいたくさんの動物たちに彩られたドタバタジプシームービー、アンド死の運命を背負った男女の逃避行劇!『ダーウィンは行く!』もビックリの動物の細密描写はクストリッツァ作品特有の呑気さを持ち込んでいるが、後半のシリアスな展開と中和されて、全体的にはズッシリとした重みをもたらしている。蛇が巻き付くシーン以外はCGではないという知識を入れておくと、映画の迫真性はより高まるはず。劇中の内紛はユーゴスラビア紛争を彷彿とさせ、戦争が日常となった世界を淡々と描き出していた。
主演は監督と兼任のクストリッツァ。美しい花嫁は正に適役モニカベルッチが輝ける美貌を解き放っている。

内紛地帯の激戦地。ハヤブサを駆る男コスタは銃声が日常のごとく吹き荒れる中、いつものんびりと兵士達にミルクを届けていた。ミルクを供給する村ではコスタに片想いする女性ミレナが住んでおり、ミレナは戦地へと赴いた兄の花嫁を探そうと必死だ。美しい花嫁をほとんど拉致同然で連れてきたミレナはコスタとの結婚式も同時にあげてしまおうと考える。だがしかし、コスタと美しい花嫁は徐々に運命に引き寄せられるかの如く、惹かれあっていくことに。ドタバタのラブストーリーはいつしか花嫁が持ち込んだある災厄により暗転し、村を破滅へと導くことになってしまい・・。

前半と後半で全く別のストーリー展開が待っており、前半ののどかな雰囲気は一変。人間も動物も無差別に殺されゆく仁義なき戦争の悲劇がただただ繰り返される。人間に対しては雑なCGを使うクストリッツァだが、動物に関しては徹底してリアリティを追求。ハヤブサも羊も熊も全部CGでは無いなんて、俄かに信じられない!そのため動物が死ぬシーンが苦手な方にはオススメしません。それもまた戦争の被害者なのだとばかりに惨たらしく命が散っていく鮮血のシーンには呆然とした。戦争の惨さも人々の幸せな営みも同時に描き出し、宗教的価値観もスルリと忍ばせる離れ業を敢行。クストリッツァにしか描けない一大叙事詩はここに完成し、見終わった頃には迫り来るその情報量にグッタリとしてしまったほど。それほどに見応えがあり、全てのカットに多義性を感じられる作品でした。
イワ

イワの感想・評価

4.0
前日にライフイズミラクルみて感動したばかりだったので、見終わったときの満足感はそんなにバッチリじゃなかったけど、
笑ったし泣いたしで、僕の腐った心は否応なしに揺さぶられました。
おっさん自分でモテモテの役やるんかい!
ロバで戦場を駆け抜ける、
破天荒ミルキーおじさんの恋と青春の逃走劇。

周りを固めるはご存知愉快なユーゴの仲間たち。

面白いはずなんだけどなあ、監督主演が良くなかったかなあ。
sogagos

sogagosの感想・評価

3.8
クストリッツァ要素が目一杯詰まってる!
お馴染みの俳優陣も嬉しい。過去作を思わせるシーンの数々も嬉しい。

音楽はやっぱり圧巻。というかシーンごとに色は違うけど基本騒々しい。愛すべきうるささ!
作品の個性だけでお腹いっぱいで、好きなこと詰め込んだ感じ。

映画の感想で嬉しいっていいのかな。。笑

ハッピーではないけど人間賛歌で、いいじゃないですか。
「男と女の話はいつする?」
「終戦締結してからかな」

銃声音は、リズム音のの1つになったら、恐怖の始まりの汽笛に様変わりする。

冒頭から音楽と、動物と、生産性のない会話。
あぁ、クストリッツァの世界観が戻ってきたのかと、歓びで胸が熱くなる。

文明も発達してない幻想のような世界で全く新しい昔の御伽噺を聞かされているような。

ミルク運びの道中で、
こんな冒険が待っているとはね。
akimi

akimiの感想・評価

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ほんと、戦争はクソだ。


クストリッツァの映画はどこまでも寓話的でフィクションであるのに。
でも、まざまざと伝わってくること。
今も世界に戦争は存在している、という現実。


日常が戦争のなかにある人々がいること。
普通に暮らしていたのに突然、街も家も全て焼かれてしまった人々がいること。
善良な人々であるのに他愛ない会話の一瞬あとに命を落としてしまうこと。
「もし戦争がなかったら」「もし平和だったら」とささやかな夢を語り合う人々がいること。
生き延びるために他者の命を奪ったり見殺しにせざるをえない人々がいること。
…戦争の甘い汁を啜ってるヤツがいるってこと。


全部、現実。
クストリッツァはいつだって、ユーモアをもってそれを描写しているし、そこにいる人たちの笑顔や幸せや楽しさもちゃんと描いてくれる。
だからこそ、彼らの現実が自分のなかに生々しく入り込んできて、心がどうしようもなくなる。


ああ、戦争はクソだ。どうすれば"ソイツ"を仕留めることができるんだろう…
Kinta

Kintaの感想・評価

3.1
クストリッツァの新作ということで公開初日に観に行った。ハッピー全開系の方が好みの自分には少々しんどい内容。一方でそのしんどさに向き合いたくなるだけの魅力を持った作品。宴を楽しむ人たちや、意思を持つかのような動物たちの生命力がすごい。
なつ

なつの感想・評価

3.8
三つの実話と寓話で構成された本作。
人、動物、戦争を重ね合わせた、クストリッツア監督の唯一無二の作風・世界観は、健在だった。
動物はてんこ盛りだったけど、人物はいつもよりは、てんこ盛りでは無かったから、少し淋しかったかな。
音楽、拳銃絡めた、どんちゃん騒ぎシーンは大いに楽しんだけど。
ラストの壮大な圧巻シーンを大画面で堪能出来て満足、満足。
にしても……“ハヤブサ”の演技が凄すぎる‼
蛇のぐるぐる、熊とのキスシーン、
ミルクを運ぶロバが可愛くてツボ。