オン・ザ・ミルキー・ロードの作品情報・感想・評価 - 82ページ目

「オン・ザ・ミルキー・ロード」に投稿された感想・評価

くみ

くみの感想・評価

5.0
最高。なんて充実した映画なんだ 詩情とユーモア、男と女の逃避行にハラハラ。そして最後のあまりに美しい幕の閉じ方。興奮冷めやらぬ!
監督9年ぶりの新作。
変わらず動物と戦争と花嫁と動物のモチーフで構成された夢とも現実ともつかない世界。そこに加えられたユーモアのさじ加減が絶妙。
クストリッツァワールドは1度はまると抜け出せなくなります
meltdownko

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4.0
コスタのバックグラウンドについて話す人々のセリフがやたら説明的だし、序盤から割と唐突かつダルい展開が続くのでクストリッツァももう年なのねと思っていたら人間あるいは羊が有様になっていく光景で完全に私の目が覚める。クストリッツァはどうやら存在の必要十分条件を人々の記憶の中にあると定めていて、最後に見せる行為はある人の存在をとどめておくための喪の儀式と言ってもよいのだろう。15年の果てにたどり着いた先のラストシーンが圧倒的だった。ただクストリッツァが自分で主演やるのはどうかと思ったけど。
kocha

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3.4
いきなり豚の断末魔が聞こえて、死の生々しさに顔をしかめる。ただ少し過激な描写の中でも、明るい登場人物達に思わず笑みが零れる。動物とのふれあいは健在で、作品通して男女の愛の原点を見た気分になった。
コスタの奏でるツィンバロムの音が今日みたいな雨の日に合い妙に印象に残ってる。
正直めっっっっっっちゃ期待してたのでスカされた感………

若干チグハグなCGや展開に興ざめしちゃってダメだった、クストリッツァ好きだっただけにかなり悲しい……
"愛へ続く道を進め"

3つの実話と多くのファンタジーから成る物語。

実写にこだわった多く動物と戦争の愚かさとエネルギッシュなラブストーリーにバルカンミュージックが最後までぎっしり。

遊び心に満ち、騒がしくてシュールな感じなのに終わった後余韻がじわっとくるクストリッツァ作品大好き。本人曰くもう監督兼主演はやらないらしい。
たらこ

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4.0
衝撃。クストリッツァ作品が好きなら、集大成として楽しめる良作。
なつめ

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3.9

このレビューはネタバレを含みます

いつものようにアヒルやロバ、味わい深いお婆ちゃんが登場するも、思いのほかかなり戦争映画だった。映画館で聞く銃声はDVDと違って体力を削ってくる。楽しいパーティのあとのどかな三角関係が展開されるのかと思いきや、人が根こそぎ、ざっくり命を奪われてしまって言葉がなかった。残された者の悲しみを、戦争があった国の人たち一人一人が負っているということに圧倒される。みんなが羊飼いのおじさんの言葉を自分に言い聞かせて生きているのだろうと思ったら、エンドロールまできてから不意に涙がこぼれてしまった。

音楽映画でもあって、東欧のリズムと和声が効果的。ハイテンションな押しかけ彼女が危険な感じでよかった。
湯呑

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4.3
映画の冒頭、屠殺人が鳴き喚く豚を引きずり、首を切り落とす。溢れ出る血を容器に移すと、家鴨達が次々と血の中へ飛び込み、その白い羽が赤く染まっていく。鮮やかな色彩に溢れた本作で、一際目立つのはこの白と赤の対比である。この冒頭場面は、映画のクライマックス、地雷地帯を進む白い山羊達が次々と爆死し、血と臓物を撒き散らす場面と連携しながら、無垢な存在(白)が理不尽な暴力(赤)に蹂躙される様を象徴的に描き出す。しかし、果たして白と赤は対極に位置するのであろうか。屠殺人が豚の血を容器に移す姿は、主人公とその恋人が山羊の乳を容器に移し換える姿と鏡像関係にある。実は、彼らの中にある無垢そのものが、暴力的な死を招き寄せているのではないか。ミルキーロードを歩む主人公が配達するのは、白いミルクだけではない。思えば、主人公は最終的にその愛を拒絶した花嫁候補に、輸血という方法で、自らの血を移し換えていたではないか。彼は、血にまみれた大地に白い石を敷き詰める事で、自身が血の配達人であった事実を隠ぺいしようとする。和平条約が締結され、束の間の平和が訪れた大地の下には、禍々しくも赤い血が湧き出る予感が潜んでいる。白は、いつでも赤に染まる予兆をはらんでいるのだ。
カツマ

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3.6
運命の歯車に導かれ破滅的なラブストーリーはどこへ行く?クストリッツァ監督らしいたくさんの動物たちに彩られたドタバタジプシームービー、アンド死の運命を背負った男女の逃避行劇!『ダーウィンは行く!』もビックリの動物の細密描写はクストリッツァ作品特有の呑気さを持ち込んでいるが、後半のシリアスな展開と中和されて、全体的にはズッシリとした重みをもたらしている。蛇が巻き付くシーン以外はCGではないという知識を入れておくと、映画の迫真性はより高まるはず。劇中の内紛はユーゴスラビア紛争を彷彿とさせ、戦争が日常となった世界を淡々と描き出していた。
主演は監督と兼任のクストリッツァ。美しい花嫁は正に適役モニカベルッチが輝ける美貌を解き放っている。

内紛地帯の激戦地。ハヤブサを駆る男コスタは銃声が日常のごとく吹き荒れる中、いつものんびりと兵士達にミルクを届けていた。ミルクを供給する村ではコスタに片想いする女性ミレナが住んでおり、ミレナは戦地へと赴いた兄の花嫁を探そうと必死だ。美しい花嫁をほとんど拉致同然で連れてきたミレナはコスタとの結婚式も同時にあげてしまおうと考える。だがしかし、コスタと美しい花嫁は徐々に運命に引き寄せられるかの如く、惹かれあっていくことに。ドタバタのラブストーリーはいつしか花嫁が持ち込んだある災厄により暗転し、村を破滅へと導くことになってしまい・・。

前半と後半で全く別のストーリー展開が待っており、前半ののどかな雰囲気は一変。人間も動物も無差別に殺されゆく仁義なき戦争の悲劇がただただ繰り返される。人間に対しては雑なCGを使うクストリッツァだが、動物に関しては徹底してリアリティを追求。ハヤブサも羊も熊も全部CGでは無いなんて、俄かに信じられない!そのため動物が死ぬシーンが苦手な方にはオススメしません。それもまた戦争の被害者なのだとばかりに惨たらしく命が散っていく鮮血のシーンには呆然とした。戦争の惨さも人々の幸せな営みも同時に描き出し、宗教的価値観もスルリと忍ばせる離れ業を敢行。クストリッツァにしか描けない一大叙事詩はここに完成し、見終わった頃には迫り来るその情報量にグッタリとしてしまったほど。それほどに見応えがあり、全てのカットに多義性を感じられる作品でした。