ベルサイユ製麺

ウーナ 13歳の欲動のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

ウーナ 13歳の欲動(2016年製作の映画)
3.9
あわわ、どうしよう。この作品の事、凄く好きなのだけど、うまく説明出来ないよ。
あらすじに書いてある通りの話で、物語的には分かりやすい落とし所には全く向かわずに宙ぶらりんで終わる、所謂ソフトストーリー物です。因みにツタヤのディスクケースにはミステリーと書いてありますね。今度ドラマのコーナーに動かしておいてあげよう。

鉛色の重たい空の下を、静止した表情のウーナが車を走らせるシーン。
左右対称を基調にした無機質なレイの職場での一連のシーン。
登場人物の内面を完全に写しとった様な生活感漂う内装。人畜無害な空虚なパーティ。置いてけぼりの知らない何処か。なんて物悲しく美しい。
ウーナの叱責、レイの弁解、平行線から、時に交差しスパーク、直ぐ切断。15年前のあの日の回顧、は記憶の捏造?などを繰り返し、事の真相は見えず、更に彼等の深層は自身にも分かっていないのでは…。
確実な事は、かつて悲劇的な出来事が起こってしまい、それは今も続いていて、どうすれば終わるのか分からないという事。誰の身に起こってもおかしくない様な事。

とにかく美しく(好みなだけです)、目が離せない映像の中で、何処に落ち着いても悲劇でしかないやりとりが続く。観ているだけでゾクゾクして、細胞がどんどん死んでいく気がします。やばいって。観覧車のシーン。死ぬって。

ベネディクト・アンドリュース(爵位持ってそうな名前!)監督。あと2作品位のうちに物凄く重要な監督になります。断言。QUOカードかけてもいいよ!