何もかもが究極的

ウーナ 13歳の欲動の何もかもが究極的のレビュー・感想・評価

ウーナ 13歳の欲動(2016年製作の映画)
3.9
性癖とは何なのか?それはタチの悪いババ抜きで、たまたま小児性愛者を引き当てると自分を偽るか、変態扱いされるかの業の深いバツの悪い人生が待っている。
皆が「気持ち悪い」と考えているものを、理解できない又は理解はできても「気持ち悪い」衝動に駆られるのは、それが欲求に結びついているからだ。
食べたい、眠りたい、デートしたい、セックスしたい、という欲求と同じ土台に「子供と…」がたまたま乗ってしまった平凡な男を本作は見事に描写している。病的なものとして描くのではなく、若い男女のラブロマンスを中年オヤジと少女に置き換えて「気持ち悪い」とは誰が決めたルールなんだと問い掛けてくる。
そして結果としてそのラブロマンスによって、彼らの人生は傷付き壊れるが、その壊した主な原因は彼らの行為ではなく、その行為を受け入れない社会規範だとこの映画は主張している。
社会規模では気持ち悪いと一蹴されることも、個人規模にすれば理解できることかもと言ってきているのだ。それが感情移入の素晴らしさでもあり怖さでもあると感じる。
感動するストーリーさえあれば、どんな変態でも普通の男として見る事ができてしまう。深く考えず奴は変態だと自分の中で「気持ち悪い」こととして分類できていた頃は簡単だったと思う。