メタ壱

リクシャーのメタ壱のレビュー・感想・評価

リクシャー(2016年製作の映画)
3.5
インド・ムンバイで貧しい生活を送るリクシャー運転手のナラヤンに密着しドキュメンタリー映画を制作しているクルー。
売春婦の恋人に見下され、客とはトラブル続き、母親からは小言を言われる毎日を送るうちにカメラはナラヤンの心の闇をとらえはじめる…というPOVフェイクドキュメンタリー作品。

POVでフェイクドキュメンタリーという手法を用いたインドを舞台にした『タクシードライバー』的な作品。

そして、一人の満たされない男の狂い堕ちていく姿を通してインドの社会事情を描いた社会派作品でもあります。

個人的には特に“お金”というものについて考えさせられました。

世界の中心の一つと言える“お金”。
それが原因で日々多くの事件が起き、分断が生まれ、戦争にすら発展する。
持たざる者は強くお金を求め、持てる者は一生かかっても使い切れないほどのお金を際限なく求める。

たぶんそれは、お金というものが世界の人間に対して“共通価値”を持たせる事になってしまったから。
物を買うという本来の存在意義を越え、お金の所有量がその人の世界における“位置”決めてしまう。

富める物も貧しい物も共通価値の元に同じ土俵の上に立たされるから、本来比べる必要のない人生における価値観すら共通化され比較され、ひいてはそれが本来なかったはずの格差や競争意識を作り出してしまうのではないでしょうか。

お金はとても便利だけれど、それ故に人の人生や人間性を変えてしまう大きな力を持っているのだと思います。
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