回想シーンでご飯3杯いける

リクシャーの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

リクシャー(2016年製作の映画)
3.7
「バーフバリ」みたいなエンタメ作品も勿論大好きだけど、それだけがインド映画の魅力じゃない。この「リクシャー」はインドの名物でもある三輪タクシーの運転手を追った、狂気に満ちたモキュメンタリー(フェイク・ドキュメンタリー)で、インド映画の知られざる側面を強烈に打ち出している。

貧しい生活を続ける労働者を追う社会派ドキュメンタリーだったはずが、彼の内面にあるインド社会や富裕層への不満が露わになっていき、正に犯罪者的とも言える独自の哲学を語り始める。

その哲学と行動はかなり胸糞悪くなるタイプの物なので、映画に共感や良識を求める人にはオススメしないが、インド人の映画表現に対する熱意は、やはり相当な物であると確信した。同じくドキュメンタリー風の演出を取り入れ、浅野忠信がサイコパスを演じた「Focus」(1996年)を思い起こさせる、かなり際どい作品。