夜空のパンケーキ

トトとふたりの姉の夜空のパンケーキのレビュー・感想・評価

トトとふたりの姉(2014年製作の映画)
4.7
誰でもいいので、これがドキュメンタリーではないと言って欲しい…それだけ生々しく見たくない現実がそこにある。
しかし、ちゃんとしたドキュメンタリーであり平等や希望なんて世の中には易々と存在しないことを見せつけてくれる素晴らしい作品でした!

ルーマニアに住む10歳のトトは父は行方不明、母は刑務所、二人の姉の一人は麻薬中毒である。

この作品は1つ上の姉がかなり可哀想な立場でトト以上に主役かも知れない。
ドラックばかりの姉と弟に挟まれて一人で抱え込んで友達のうちに逃げてしまう…この作品の母も姉も本当にクズみたいな人間。
そこにしっかりとNOを突きつけるあたりがドキュメンタリーをねじ曲げない姿勢が貫かれている。

「今は笑いたい気分なんだ」って言葉はこの現実から逃げたい思いが強く涙を誘う…。

「血は繋がっているから離れていても親子」とか「努力すれば悪いものも断てる」なんて寒い言葉は皆無である!
だからこそ今作は意味をなす。
ラストのトトの母に対する言葉が全てを表現しているようで、あの終わり方で僕はある意味救いを感じた。