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ミスエデュケーションのmのレビュー・感想・評価

ミスエデュケーション(2018年製作の映画)
4.0
この作品は、同性愛をテーマに扱った作品にありがちな、ドラマチックな演出や悲劇的な演出がほとんどなく、淡々とドキュメンタリーのように施設での生活やそこでの人間関係に焦点を当てているのが良さであり、反対にだからつまらないと思う人もいるだろうなと思う。
個人的には、感動ポルノ的な作品よりもこういう作品が増えていけば、と思う。
「同性愛は治療できる」「同性愛は罪」っていう思想自体異常だけれど、この矯正施設は、どちらかといえば優しい言葉で、穏やかな態度で、それぞれが「自分がおかしい」「自分は出来損ないだ」と思うように仕向けてくるので、暴力的でない分、なんというかカルト的な異常さが際立ってぞっとする。そもそもここまで自分を憎ませる方法では、本当に罪を犯した人たちの更生もうまくいかない気がする。思春期の子どもたちに対して自分の恋愛や性のことを大っぴらに共有させることで恥ずかしいという気持ちを植え付け、それを罪悪感と結び付けるという方法もとても汚いと思う。

今もセクシャルマイノリティに対する偏見がなくなったとは決して思わないし、本当の意味での理解には程遠い社会だけど、確実にこの頃よりはよくなっているんだろうと思う。そう信じたい。
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