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サスペリアのFREDDYのネタバレレビュー・内容・結末

サスペリア(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

1977年に制作されたダリオ・アルジェント監督によるホラー映画『サスペリア』を新たな視点から描いたリメイク作品である本作は、ベルリンを拠点とする世界的に有名な舞踊団「マルコス・ダンス・カンパニー」に入団するため、夢と希望を胸にオーディションを受けたところカリスマ振付師マダム・ブランの目に留まり、すぐに大事な演目のセンターに抜擢された、アメリカのオハイオ州からやってきたスージー・バニヨンと、失踪してしまった舞踊団の若きダンサー・パトリシアの行方を追う心理療法士のクレンペラー博士の視点から、舞踊団による迫り来る恐怖と隠された恐ろしい秘密が映し出されるわけなのだが、まず触れたいのは、本作はオリジナル版との相違点が多々見られ、リメイク作品というよりは再構築して製作されたリブート作品といったところで、別物という印象を強く受けましたね。オリジナル版のイメージで視聴してしまうと雰囲気の違いに戸惑ってしまうかも。ただ、舞台が1977年のベルリンということで、パレスチナ解放人民戦線のメンバーによるルフトハンザ航空181便ハイジャック事件や、ナチス・ドイツによるホロコーストの爪痕が物語の背景に描かれていたりと時代背景がしっかりとしていますし、その時代背景の縮図をマルコス・ダンス・カンパニーに映し出した点はとても良かったですね。物語に奥行きが感じられましたし、舞踏団による恐怖とリンクしてまた違った悍ましさが伝わってきました。そして何といっても本作の要である舞踏団による謎の儀式はとにかく衝撃的で、コンテンポラリー・ダンスによって表現されているものを探りながら視聴する面白さもありますし、狂気に満ちていながら美しさも兼ね備えていて、これだけでも観る価値は大いにありました。ダコタ・ジョンソンや ティルダ・スウィントンなどといったキャスト陣の演技も良かったですし、中々見応えのある作品でしたね。強いて言うならば、「決してひとりでは見ないでください。」という謳い文句は恐怖を指しているわけではなく、視聴者の解釈や知識の問題なのかと。
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