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サスペリアのYNのレビュー・感想・評価

サスペリア(2018年製作の映画)
5.0
2019年ベスト最有力候補!悩んだけど5点つけちゃう!だってあまりにも面白いから!

ダリオアルジェントのサスペリアは未見だったのだが、問題ないらしいとのことで前知識も何もなく鑑賞。

絵作り良し!雰囲気良し!ゴア良し!展開良し!曲良し!ダンス良し!演技良し!
ストーリーが云々、というレベルではなく、「サスペリアを浴びる映画体験」が最高な完成度が高すぎる映画だった!

ネタバレなしで魅力を伝えるのがなかなか難しいのだが、まずは世界観の構築に完璧に成功している。
舞台はドイツはベルリン。壁があり、落書きがある(そもそも主人公はアメリカからやってきている)ことから、ここが西ベルリンであることがわかる。
ベルリンの壁というと、東ドイツを囲んでいるイメージだが、実際は東ドイツ内の唯一の西領である西ベルリンを囲む形で立っていたものだ。
つまり西ベルリンは、結界に囲まれた異界と言える。
壁に面してに聳え立つTANZと書かれた建物、堅牢そうなその外観が映った瞬間にはもう、この世界観に引き込まれている。
ベルリンの駅、壁、建物、そういったものの表現が絶妙にうまいのだろう(劇中の台詞の半分ほどがドイツ語なのももちろんある)。特に奇をてらっていないのにすんなり物語に入っていける。

主人公スージーが憧れのマダム・ブランに師事してダンスの才能を開花させていくのに並行して、何か「邪悪なこと」が起きる。
この「邪悪なこと」の表現がまた完璧。
ゴアシーンをあんな風にダンスと融合させるなんて発想があっただろうか!
最初のゴアダンスシーン、あまりに素晴らしくて感動して、泣き笑いになってしまった。

スージーはダンスの才能だけでなく、何かを開花させ、ブランとの関係が徐々にズレ始める。ここのやり取りの繊細さも必見。

そして怒涛のクライマックス。これをカタルシスと呼ばずになんと呼ぼうか!
圧倒的な存在による破壊と浄化。驕るものを粛清し苦しむものを救済する„die Mutter“。
とにかく圧巻で、清々しい気持ちになる。

ダンスシーンも非常に見応えがあり、ぜひディスクにはノーカット版を入れて欲しいくらい。それそのものとして十分に鑑賞できる舞踏だ。

俳優陣は、ティルダ・スウィントンの名名名演技に下支えされながらも、「フィフティシェイズ〜」のあの娘とは思えないダコタ・ジョンソン、またサラ役のミア・ゴスが堂々たる演技を見せる。

とにかくハイクオリティで観ると多幸感に包まれるこの作品。
ある意味「アッパー系のヘレディタリー」的な趣もあり、ホラー映画は(本作がホラーかはやや微妙かもだが)完全に次の時代に踏み出したと確信した。
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