あでゆ

サスペリアのあでゆのレビュー・感想・評価

サスペリア(2018年製作の映画)
4.3
1977年、アメリカからベルリンの世界的舞踊団への入団を目指すスージー・バニヨンは、オーディションでカリスマ振付師マダム・ブランの目に留まり、次回公演の大役に抜てきされるが、スージーの周囲では、ダンサーたちが次々と行方知れずになる。患者であるダンサーたちを捜す心理療法士のクレンペラー博士は、舞踊団の暗部に迫っていく。

オリジナル視聴済。
『サスペリア』のリメイクとはいっているものの、舞台背景や描かれているテーマ、デザインにわたって原作とは全く異なる別作品。
劇団が踊るダンスの模様や、その呪術的な殺害方法に至るまで、実は原作よりもホラーっぽいルックは多いのだが、ジャンルとしては政治サスペンスといっても差し支えないような気がしてしまう。

「ベルリンの壁」という世界で最も有名な派閥争いが起きている現場のそばで、そのニュースをどうでも良さげに垂れ流しながら、どうでもいい魔女の派閥争いをしているというアイデアは非常に上品。

上品といえばティルダ・スウィントンの存在も非常に上品で、改革するものという風格がこれ以上ないほどに似合っていた。
カウンセラーの男もやたら声が高く、ティルダ・スウィントンだよな?と感じたものの名前が違っていたので、ん?と思っていたら、やはり一人二役どころか三役こなしていたらしい。例の魔女も特殊メイクで彼女がやっていたそうだが、三者三様ではあるものの三者の世界を変えようとする意思は世代を通じて繋がっている、というところなのだろうか。

暗黒舞踏のますらをな動作によって繰り広げられる殺人描写はとても奇妙で、生理的に不快なものだったが、ラストのカタルシス崩壊として描かれる大量虐殺には、一層清々しいものを感じた。
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