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サスペリアの堊のレビュー・感想・評価

サスペリア(2018年製作の映画)
1.7
虚心坦懐流行り物に手を出そうシリーズその2
すごい中途半端にファスビンダー的なことをほのめかそうとする演出を感じる(特に女性が二人になった途端)。『魔法少女隊アルス』みたいな終盤は超Z級テレビドラマとして嫌いじゃないけど同時進行のジジイのパートの妙に文芸(アートではなく)しようとするあたりに『君の名前…』のかおりを感じる。最後せっかくフレーム内フレーム作っていながらワンカットでダサく見せてるところとか、ダサすぎるラストショットとか悪いところはあげたらキリない映画だし、すごく単純な話を複雑に見せて批評家を仰ぐ仕草は苦手すぎる。レディオヘッドともどもトムヨークの映画に恵まれなさがすごい。でもグロ怪物の造形とか身体欠損の金の掛け具合にはちょっと嬉しくなった。アート趣味の映画ではなくカイガニックの過去のB級ホラーのように楽しんだらよかったのかも。『ミッドサマー』にしても若い人たちが安心して享受できる狂気(=擬似スナッフフィルム)みたいなのが今の流行なの? 
手垢にまみれた宗教団体の密教的なアングラを明るい場所でダンスとともに「見られる」ものに仕立てることで消費する。饒舌になれるだけ健康的な分、「こんなものを見てしまう/アクセスできるわたし」はスマホ的な明るさの前で対消滅していく。90年代の悪趣味に対して大反省会が行われているのも納得。
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