MasaichiYaguchi

イイネ!イイネ!イイネ!のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

イイネ!イイネ!イイネ!(2017年製作の映画)
2.3
この作品は、今年結成20周年を迎える「クレイジーケンバンド」による、彼らの音楽を愛するファンの為に作られた映画。
だから、彼らの楽曲でよく登場する横浜を舞台に、リードボーカルの横山剣さんが本人役で主演し、他のバンドメンバーも同様に出演して港町ハードボイルドというか、男純情物語を繰り広げる。
タイトルの「イイネ!イイネ!イイネ!」の「イイネ!」はfacebookやTwitter等のSNSの機能でお馴染みだが、本作では横浜本牧で育った幼馴染のケン、トニー、ドブオの友情の証のようなものになっている。
彼らの友情物語を中心に、念願の横浜スタジアムのコンサートが決まったバンドと、ある切っ掛けでケンが知り合った組織に追われる女性への恋が並行して描かれていく。
中高年となったケン、トニー、ドブオの3人は夫々、人生の節目を迎え、これからどう進んで行ったら良いか混迷しているように見える。
その混迷さが作品に反映しているのか、随所にちぐはぐさを感じる。
作品のテイストは東映の「夜の歌謡シリーズ」という感じだが、本作の敵役で残虐非道な進藤悠が終盤でいきなり転調したり、組織から逃亡して身を潜めている筈の女性を目立たさせるような行動をさせたり、また彼女が逃走している行動原理が不自然であったりする。
映画としては成り立たないが、初めから女性が高飛びしていたら、終わっていた話のような気がする。
このように全体的に辻褄が合わない、テイストがアンバランスなチープな印象を与える作品だと思う。
それでも劇中で「クレイジーケンバンド」の楽曲の数々を聴かせてくれるので、バンド結成20周年の豪華プロモーション映画として捉えるべきかもしれない。