柏エシディシ

彼女がその名を知らない鳥たちの柏エシディシのレビュー・感想・評価

2.0
人間の、と言うより特に日本人独特の歪みや限りなく黒に近いグレーの部分を炙り出す様な作品を得意とする印象の白石和彌監督。

結論、ある程度展開が読めてしまった所為もあるのですが、少しばかり物足りず。
本作の惹句で言うところの「共感度ゼロ」と言うのは、人間として底辺、クズという意味合いだと思うのですが、それとは逆の意味合いで共感出来なかったのです。

だって、陣治はどんなに汚い格好していても阿部サダヲさんの元来の誠実さや生真面目さが滲み出るいい男なんだもの。
本作の肝は、観客のミスリードを誘いつつ、最後に反転するクライマックスにあると思うのですが、陣治の人物像のギャップがそこまで説得力がある様に思えないので弱い。
陣治がもっとエグく(表面上で)描かれていれば、また違ったのかな、と。

そもそも、陣治のキャラクターは男の身からすれば、そいう意味で共感度ゼロですよ。映画的で綺麗過ぎる、そんなの。マッサージのシーンも少し描かれるけど、もっと、もっと。男なんていやらしくて薄汚いモンですよ。もっとそこを容赦なく描いて欲しかった。だからこそ、あの決断が美しいのであって。白石監督だからこそ、余計にそう思います。

監督作の公開続きますねー。精力的。次作はとってもエグそうw楽しみに待ちます。
柏エシディシ

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