YokoGoto

彼女がその名を知らない鳥たちのYokoGotoのレビュー・感想・評価

3.2
ー正しく、愛する事のできない女の苦しみー

いわゆる、『日本アカデミー賞』なるものは、あまり気にしてはいないのですが、本作品の蒼井優さんが主演女優賞なるものを受賞したという事で、本作品は(DVDスルーで申し訳ないが)ちょっと気になる作品の一つでした。

本作品のあらすじは、殆ど知らなかったのですが、サスペンス系ラブストーリーなのですね。途中までサスペンスが展開されていたので、若干、驚きました。(笑)

いわば、普通の女性の普通じゃない恋愛がサスペンス調に描かれていますので、比較的飽きさせません。最後まで、この関係はどうなっていくのか?と謎解きするように、ストーリーを追うことができますので、眠くならずに鑑賞できました。この手の邦画は、一つ間違うと、眠くなってしまうのですが、そんなことはなかったです。

ただし、原作は映画以上に登場人物の関係性が深掘りされていたでしょうし、それぞれの登場人物の心の動きは鮮明に見えてくるのでしょう。しかしながら、この話を2時間尺に描くのは、若干の無理があったように感じました。(連ドラの方が向いてるかも)

言わずもがな、主人公の蒼井優さんの演技はピカイチですが、つい数年前に観た山下監督の『オーバー・フェンス』の蒼井優さんの役どころに似ていたかなぁと感じました。そのため、意外性がないというか、どこかで観た光景という感じがあったように思います。

もちろん、演技は良いですよ。

あと、阿部サダヲさんは、どうだったのでしょう?
あまりにも色がつきすぎている役者さんのように感じます。真っ黒に日焼けした不潔な現場作業員という役どころですが、日焼けした肌も違和感ありましたし、役にしっかりはまっていたようにも感じられませんでした。
個人的には、あまり色のついていない役者さんだったら、もっとリアリティがあって感情移入できたように思います。阿部サダヲさんが悪いわけではなく、キャスティングとして、あまり釈然としなかったという感想です。

松坂桃李さんにおいては、(主人公との)出会いのシーンから唖然としました。(いわゆる密室での初対面のシーンですが)『はぁ?』という場面だったのですが、違和感がありすぎました。表情も変えずに、あんな行動はできるのか?と、リアリティに欠けるように思います。こちらも、キャスティングは松坂桃李さんで良かったのか?と疑問でした。

他にも、場面場面で強引な所が気になって集中できない点もあり、なんとも釈然としない感じが残りました。細かい所は気にせず観るのが良いのでしょう。気にしすぎました。(笑)

あと、蒼井優さんのベッドシーンは、なかなか大胆に表現されていました。でも、やはり『蒼井優さんの場合はここまでね』、という感じは否めませんが。(笑)思ったよりもベッドシーンはキワドくないですね。これも、少し物語として俯瞰でみてしまった原因かもしれません。

ギリギリとした、感情を揺さぶられるような話ではあるのですが、なんとなく胸があまり痛まない。やはり、感情移入しきれていない自分が居たのだと思います。

しかしながら、最後まで集中して観られた作品ですので、ぜひ蒼井優さんを堪能するためにも、おすすめしたいと思います。

恐らく、好みの問題ですし、私自身の映画の解釈の問題だと思いますので、辛口の評価になってしまったこと、ご容赦ください。m(__)m
YokoGoto

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