オーデュボン

彼女がその名を知らない鳥たちのオーデュボンのレビュー・感想・評価

4.2
ピアス。

不潔でだらしなく稼ぎも多くない陣治。働きもせずに彼と共に暮らす十和子。彼女は8年前に別れた黒崎を未だ忘れられずにいるが、時計屋に勤務する水島と出会い徐々に関係を深めていく。ある日、彼女は黒崎が失踪していたことを知る。

2017年の各映画賞で主演女優賞を総なめにした蒼井優の演技が素晴らしい。時には体を張り、時には表情だけで訴える彼女の迫真の演技は日本の女優でもトップクラスだ。それに応えるように男性俳優陣も見事な演技を見せる。終始薄汚い阿部サダヲ、軽薄さが滲み出る松坂桃李、胡散臭い竹野内豊。主要登場人物が皆癖のあるキャラクターとして実在するかのようだった。
「凶悪」でも現実を超越したような場面転換の上手さが光った白石和彌監督だが、今作でもそれが存分に発揮されている。過去と現在が複雑に絡み合ったストーリーだが、それを分かりやすくも、映画的にとても面白く見せることが出来ているのは監督の力量だろう。

ラストの展開は言葉では言い表せない感情を抱かせる。タイトルの表すものがようやく明らかになるラストで、蒼井優の表情に泣かされる。共感できるかは別として、究極の愛というテーマに偽りはない。ミステリーとしても、ラブストーリーとしても一級品の傑作を作り上げた白石和彌。今1番間違いない日本人監督の1人だ。