kuzira

彼女がその名を知らない鳥たちのkuziraのレビュー・感想・評価

3.9
愛とは見返りを求めず限りなく深く慈しむこと

辞書で引いたような愛が定義だとするならば
これは紛れも無い愛と呼ぶには充分で
もうそれ以上は存在しないのかもしれない

劇中に多くの台詞が残る「〜の為。」
傍観するだけの危険な関係を見る分には
誰にとっても為にならないこと

何かに役立ってる訳でもない、
損が損としてその人の中に存在していない
とするならば、やはり損もない訳で

じゃあ〜の為って何なのだろう
じゃあ、誰かの為ってあるのだろうか

十和子を愛し抜いたという証だとするなら
それはやっぱり自分の為なのだろうか

十和子は勿論望んではいない訳だけど
助けを求めた事実は存在して

記憶が欠落し、同居人を叱責し、
寝て暮らし、SEXを求め
孤独を謳歌して、嫉妬に狂う

人が愛を捧げる時、
示し方はやっぱりそれぞれで
受け手がそれを愛と感じるのであれば
やはりそれは「愛」なのか

もし、愛だとするならば
やっと最後の最後で愛は消化し、昇天する


愛を手に入れるには、
あまりにも陣治にはリスクが大きすぎる
結果として見返りを求めてしまった
その時点でそれは愛の定義には反するし

愛という言葉ではないのかもしれないけど
愛に似たような執着がこの映画を纏っている
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