こーべい

彼女がその名を知らない鳥たちのこーべいのレビュー・感想・評価

4.4
人間の本質をえぐる、みたいな切り口の邦画ってゲスいテーマを後味悪く終わらせて勝手に何か考えてください、みたいなものが多いので最近避けていたのだけど、そんな疑いをいい意味で裏切ってくれた。

観るタイミングによっては男女間の愛し方についての考え方が変わってしまいそうな話だった。

残された十和子は幸せなのだろうか。
ある意味これ以上ない陣治の復讐ともとれそうな…。うーん。

蒼井優は苦手なのだけど、この蒼井優はめちゃくちゃよかった。
というか、この人福岡の人なのに関西弁死ぬほど上手。
大げさ抜きで、ネイティブスピーカーじゃない俳優でこんなに完璧に関西弁を話したランキングNo1だと思う。

阿部サダヲはちょっと汚さに演出入り過ぎてた感じもしたけど、必死に訴えかけてくる姿が印象的。最高に優しい男じゃないか。
ネタバレのところは胸にグサっと刺さるものがあった。

竹野内豊は鳥肌レベルの嫌なヤツ。
「孤独がひとりで歩いてる~」って車内で言うシーン、気持ち悪すぎて4回くらいリピート再生した。
それくらいの好演。

原作の沼田まほかるってイヤミス(後味の悪いミステリー)の女王の一角として名を馳せているそうだけど、全然イヤじゃない。『ユリゴコロ』も心温まったし、この人の描く愛の形は大好きだ。