えな

彼女がその名を知らない鳥たちのえなのレビュー・感想・評価

4.4
7年前に原作を読んだときは沼田まほかるワールドに惹かれつつも不潔さや人間の醜い弱さにうんざりし受け入れ難くてたまらなかった。憂鬱さからラスト(映画とは少し違う自転車の)シーンで清々してしまい、その罪悪感に加え登場人物の行動が一部理解できなかったため、心にモヤっとしたものが残り続けていた。特にジンジのいやらしさ全てが忘れられず映画化のときも「あの気味悪さを映像化するなんて悪趣味…」とすら思ってしまった。沼田まほかる著作は全作読んでいて大好きなのだけれど心がもっていかれるので、今日も本作を観るとき「気になるから冒頭だけ見よう。気持ち悪かったらやめよう」と思いながら…結局夜更けに一気に観てしまった。
映画は細かなところも序盤から丁寧に描かれててイヤミス要素もしっかりいかされてて、7年越しにジンジのあたたかさに気づけた。長かった。呪いがとけたきぶん。映画化がありがたい。沼田先生の新刊を待ってる。
えな

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