ざわわ

彼女がその名を知らない鳥たちのざわわのレビュー・感想・評価

3.6
「愛」について描いた物語は腐るほどあるんだろうけど、多分これは誰も見たことがない愛の話。
画面は終始薄暗く、登場人物達はどこかネジが外れたような様子に見える。生活感がしつこいほどリアルで、「気味が悪い」というのが、前半の印象だった。

ヒロインの十和子は、自己中で我が儘、口も態度も最悪で、イケメン好きで浮気性という屑っぷり。夫の陣治は下品で粗野で、簡単に言うと気持ち悪い。俳優陣の演技が凄まじく、十和子にも陣治にも、心の底から嫌悪感を抱いた。演出の拘りもすごい。畳み掛けるような終盤の描写には息を呑んだ

見返りを求めず尽くすこと、相手のために罪を負うこと、自分の全てをかけて相手を縛ること。
たとえエゴでも欺瞞でも、これを愛だと呼べるだろうか?
無数の鳥が飛び立つシーン、十和子は初めて顔を上げる。
名も知らぬその鳥たちが、これからの十和子を支え、生かし続けてくれることを、切に願う。
ざわわ

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