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海辺の生と死のdarumaのレビュー・感想・評価

海辺の生と死(2017年製作の映画)
3.6
井之脇海くんに惹かれて。こ、これは…満島ひかりさんのファンじゃないと、ちょっとキツいかも?戦時中の話で原作ありの実話ベースですが、かなり難解な部類に入りそう。(?逆にストレートなのか?裏を読もう(心情を推し量ろう)とすると難しく感じた)

まず、めちゃくちゃ長い。2時間35分あります。長回しが多いからだと思うけど、長すぎるかも…。あと、かなり集中して観ないとわかりづらいような…?(睡魔が。。)ラストがちょっとどうなったのか、一瞬わかりませんでした。

wikiを読んで初めて、どうしてこの作品を撮ろうとしたのか、意味が分かった。「死の棘」というカンヌ審査員グランプリ受賞作があるんですね。その原作の方(島尾敏雄さんという方です)と奥様をモデルにした話だそうです。なるほど…。死の棘は私小説の部類のようなので、その前日譚とでもいうべき作品なのかな?

満島ひかりさんの当時の事務所のユマニテが製作しているので(それは知っていて前提として観ました)、いかにも…!という感じはしました。ほんと好きよね…(いや!そういう事ではないのだけれど。。)絶対そういうシーンがあるだろうな…と思って観始めたのですが、全く予期せぬところで出てきてビックリ!!そういう感じ…

自分とは時代も違うし、環境も違いすぎるので、あまり共感はできなかったけれど、ふと、トエの気持ちが「ああ、何となくわかるような…」と思う所はあった。戦時中の、際限がない、追い詰められている感じというか。過去に婚約者が居てその人は戦争から帰ってこない、いい人が居たら一緒に成れとも言われている。そんな中で新しくできた好きな人。女の本能とでもいうのか、その人を絶対離してはダメだ、その強い気持ちはひしひしと伝わりました。

満島さんのお相手は永山絢斗さん。スラっとして頭の良さそうな、心優しい隊長役がお似合いでした。
命令についての台詞が響いた。

井之脇海くんは満島さんと同じ事務所なので、だから出てるんだな…というのも前提で観たので違和感はありませんでしたが(番手が3番手なので結構出てるのかな?と思って観始めて、まあそれなりに出てた)、人物的に「この人どっちに振れるんだろう…(彼の動き一つで結構流れが変わりそう)」と、ちょっとドキドキしてしまった。(結果を書いちゃうと面白くないので伏せておきます。笑)
笑顔が素敵だった。ピアノは弾いてないけど、かすかにハミングしてた^^

印象的なシーンは、隊長が部屋で鏡を見る場面。
鏡を上手に使ったシーンはよくあると思いますが(合わせ鏡に映る)、影の使い方が絶妙。(鏡そのものは関係なく)
実物より、影が大きくなる。
自分自身の黒い部分、表には出てきていない部分が大きくなっている…という事なのかな?うまいな!と思った。

同じ部屋で井之脇海くん演じる大坪と対峙する時も隊長が鏡に映っていて、これは鏡のシーンとして普通によかった。
で!その対峙するシーン、海くんは結構身長が大きいと思うんですが、まさに!隊長に引けを取らない圧倒感が凄かった…(それまでは階級の関係性からも彼が小さく見えていたので。)ここが彼の一番の見せ所かな?おおっ!と思った。満足。

あと、空襲のシーンはめっちゃ怖かった。
とにかくそこが一番怖かった。
そこだけは戦争の物理的な怖さがめっちゃ伝わった…
(音の強弱とかもあると思う。全体的に音量が結構小さいので、極端にボリュームが大きいと凄くびっくりする。故に、怖い)

平等とか、戦争反対とか、かなりストレートに伝わる脚本です。
配給に「新聞記者」のスターサンズが入っているので、それっぽい感じかも。

ちょっと冗長すぎるのと、ラストが突発的なのが気になったけど(でも満島さんの真骨頂は出てた!これこれ!と思った)、戦争ものが好きな方には響くかもしれません。

(余談。ユマニテ製作の作品(つまり自社俳優の宣材ムービー的なもの)をいくつか観たことがありますが、これは個人的にはあまり当たりではなかった…どれも難解系なんですが、海くんが出てる作品では「月子」の方が好きかな。あれは実質、三浦透子ちゃんがメインだけれど。逆に、最初に書いたように、満島ひかりさんのファンなら演技は凄く堪能できると思います。ストーリーは別として)
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