アンビエントを極力抑えた会話シーンを描く事により、セリフが浮き上がり、よりそこで描かれる人物たちの心情が差し迫った。
様々な関係性の中で悲劇が襲う状況そのものを、緊迫した雰囲気に持っていくには最適な演出だったと思う。
更に、ステレオタイプのキャラクター達が演劇的なセリフを発する事で、多くの登場人物がいるにも関わらず、それらを寓話化する事に成功していた。
重いテーマだけに、観客を突き放さないように注意深く撮られた非常にクレバーな作品。
ただ、一般的な道徳心の中で、それを行動規範に映画が進行していくのでキャラクターが躍動することはなかった。