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DESTINY 鎌倉ものがたりのKSatのレビュー・感想・評価

DESTINY 鎌倉ものがたり(2017年製作の映画)
3.4
昔から原作ファンで30巻くらいまで読んでたから、かなり斜に構えて見てしまった。

そもそも原作漫画は、サザエさんとコナンと清順のツィゴイネルワイゼンを足して3で割ったような日常モノなので、あんな壮大なスケールのCGで魅せるようなものでは、断じてない。

が、高畑充希がめちゃ可愛いし、これはこれでまあ、ナシではないぞ!

原作のエピソードを前半でダイジェスト的にまとめて途中からオリジナルのお涙頂戴映画にしちゃうのが山崎貴の映画だが、今回もいつも通り。

基本的に1巻とかそのあたりのエピソードを中心にダイジェスト的に織り交ぜたストーリーだが、これに関しては犯人が自宅前を通る江ノ電の屋根に乗るトリックや納戸のくだりなんかは割かし忠実。一色家の美術もわざとらしくなくて巧い!

さらに、原作でも感動回として名高い一色先生のお母さんの不倫相手だった幻想作家・湖南独伊留(映画だと何故か名前が違う)の正体がわかるエピソードが意外な形で応用されていたり、一色先生の旧友・柳生が幽体離脱して死にそうになるのを助けるという割かし地味な回を、柳生ではなく亜紀子に変えた上で映画の中心的な噺にしたりと、巧いこと脚色してまとめている。これには、一原作ファンとしてかなり感心した。

まあ、ちょっとこれ見よがしすぎるCGはしんどいし、後半のバトルはショボすぎるけどね。映画だと、めちゃ見た目キモイ天頭鬼とかいう魔物が平安時代から亜紀子に執着してるけど、原作だと亜紀子自身の前世だった平安時代の如月姫が一色先生に取り憑くんだよね〜。

あと堤真一演じる本田さんは、映画だと若死にして家族を見守るために魔物になるけど、原作だと現代社会に馴染めない中でたまたま出会った70年前の女性に惹かれるあまり、タイムスリップして有名な昔の小説家「有島育郎」になってしまうから、原作の方がヤバい。

役者に関しては、静の女将役の薬師丸ひろ子とか、恐山刑事役の神戸浩なんかは割かし忠実だと思う。中村玉緒は、まあ...(てか、「ばあや」って今は差別用語なの?)

堺雅人はなんか違うなあ。高畑充希は原作通りって訳では決してないが、可愛いから良い。


子供の頃から「鎌倉ものがたり」が映像化されたら、原由子の「鎌倉物語」使ってほしいと思ってきたが、まあ、無理ですよね...。

俺、実質17年鎌倉住んでるけど、未だに魔物見れない...
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