えりみ

私は絶対許さないのえりみのレビュー・感想・評価

私は絶対許さない(2018年製作の映画)
3.8
R18+指定作品はWOWOWではそのまま放送されないから、という理由で劇場へ。とはいえ下衆な動機も多分に。
原作未読。存在も映画の特報で知った。
原作を読んでから映画を観るべきだった、と思いました。
15歳の元旦に集団レイプされた被害者の事件当日から30代の現在に至るまでの半生を疑似体験させる主観映像作品。
加害者の名前は実名を使っているとの事。
フルカワ、キムラ、ヌマシタ、マサアキ、サイタの5人。劇中では東北の田舎となっているが北海道での話らしい。一人じゃ何も出来ないヘタレヤンキー共全員ネットで晒し上げられ罰が当たればいい。

この作りで雪村葉子さんが満足しているならそれで文句は無い。
…無いが、エンドロール〜タイトルの後に改めて直筆?で「私は絶対許さない」と記してまで終わるのに、そのエンディングでSMの女王様として活躍するプレイシーンを第三者目線で流すのは陳腐というかB級エロ映画っぽくなって趣旨がブレてやしないかと。
エンタメ作品で散々POV映像をみてきているので、目線(カメラの位置)が微妙にズレているカットがあったり他の方のレビューにもあったけど「そこで目ぇ開けてソコ見るかな?」と疑問に感じるシーンも(目をつぶってしまい暗転、音のみのシーンがあってもいいと思うんやけど)。性被害に合うた事が無いので想像でしかないけど。
音についても、この監督さんは鼻が折れるぐらい殴られた経験が無いんやな(偉い精神科医らしいので当然っちゃ当然か)と。リアルな疑似体験を目指している事がよく分かるだけに細部に気を遣って欲しかった。
整形外科女医の「OK!」も気になったなぁ。整形した事ないから分からんけど何百万も払うてあんな風に言われたら、わしならキレる💢

とはいえ、いきなり始まる輪姦シーンの凄惨さは怯むぐらいの描写、しかも長い。被害者役の西山可奈子さんはまさに体当たりで演じている。
摂食障害による吐きダコや自傷疵が消えない、自分の事を第3者的に俯瞰で見つめるもう一人の自分等、さすが精神科医の監督さんやな!と思える細かい描写もある。
大人になってからの女優さんも身体張って頑張ってたとは思うけど、
個人的には糖尿病のヤクザを演じた隆大介が一番印象に残った。見せ場は2回もあるし刺青も立派なモンやし、これが台湾空港で大虎になって謹慎明け?一発目の出演作とか。この面子やとやっぱ別格。
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