Jun55

バトル・オブ・ザ・セクシーズのJun55のレビュー・感想・評価

4.2
1973年に行われたBillie Jean King(キング夫人)と往年の名プレイヤー(男子チャンピオン)の Bobby Riggs のエキビジョンマッチ(BATTLE OF THE SEXES)をテーマにした映画。
この試合は、名前の通り、男性と女性のプライドをかけたテニスマッチであり、当時、約9千万人が視聴したと言われている。
エマ・ストーンがキング夫人を演じることでも話題になっている。

自分にとってキング夫人は女性テニス名プレイヤーという認識しかなかったが、女性地位向上、LGBT地位向上と社会問題に積極的に関わってきた人物でもある。このエキビジョンマッチも女性テニスプレイヤーの賞金格差等を訴えてきたキング夫人が受けて立った試合であり、アメリカにおける女性地位向上に大きな影響を及ぼしたといわれている。

40年もの前の出来事で、女性の地位もそれ以降大きく向上し、特に女子テニス界では黒人プレイヤー(ウイリアムス姉妹)の活躍も含めて男子テニス界と人気、賞金も含めて引けをとらない。
しかしながら、この映画をみながら、どうしても2016年大統領選のことが頭を過らざるを得ない。
アメリカには、まだまだ、男女の雇用・賃金格差、女性蔑視・男性優位の考え方、同性愛者への偏見等が広く観られ、大統領選の結果がそれを示してしまった。
そのような政治情勢だからこそ、この映画が社会的にも大きな意味を持つのだろうし、高い評価を受けている背景になっているのだと思う。

キング夫人の印象的な言葉。「我々は、何も女性が優れているといっているのではない。同じように扱うべき、と訴えているだけなのだ」
この映画だけでなく、このタイミングでキング夫人がマスコミにも多く登場し、弱者の社会地位向上を訴える姿を見て、社会を変えていこうとするエネルギーが蓄えられていくような気がする。
当時のエキビジョンマッチの高揚感を多くの国民が求めているのではないだろうか。

そして、最後に、エマ・ストーンの演技も素晴らしい。
テニスプレイヤーの顔、女性地位向上を訴える闘士としての顔、妻の顔、同性愛に目覚める女性の顔、難しい役を見事に演じている。
Jun55

Jun55