きえ

バトル・オブ・ザ・セクシーズのきえのレビュー・感想・評価

3.7
ゲイリー・オールドマンがチャーチルなら、エマ・ストーンは70年代女子テニスの世界チャンピオン、ビリー・ジーン・キングに成り切った!

意地悪な言い方をすると特殊メイクを味方にしたゲイリーと自力で挑んだエマ・ストーン!(すみません嫌な言い方…) 見た目だけではなく何とテニスシーンもCGに頼る事なくビリー・ジーン直接指導の元でプレースタイルを習得し撮影したと言うから何と言う努力家なんでしょう。と言うか彼女何気に芸達者。

エマと言えば、大き過ぎるぐらいの目にこれまた大きなブルーの瞳と金髪が魅力で、直近のララランドのミアとかどハマりな華やかな女優さんだけど、今回は髪を黒く染めノーメイクに銀縁メガネと言う超地味な女子。ひゃ〜、ラララの次にこの役って凄い振り幅。演じる事に貪欲だなぁ。

と言う訳でこの作品の公開はまだまだ先(7月)だけど、エマ・ストーンの役作りを是非堪能してもらいたい。

お話の方は…"ウーマンリブ"と言う新語が産声を上げた70年代のテニス界を舞台に男女平等を求め立ち上がった女子チャンピオンと元男子チャンピオンとの全世界注目の性差を超えた一戦(バトル・オブ・ザ・セクシーズ)までが描かれる。

当時の不条理な女性差別の実態やそれを誘発する男性の女性蔑視な思考をお口あんぐりに見ながら、過去の女性達は今の女性達の為にどれだけ闘って来てくれたのだろうと思わずにはいられない。

ビリー・ジーン・キングの存在については全く知らなかった。因みにマイケル・ジャクソンの『ビリー・ジーン』には全く関係ない(^^; 。しかしテニス漫画『エースを狙え』の主人公・岡ひろみが憧れていた選手が何とこのビリー・ジーン・キングなのだと。つまりその位有名な70年代の選手と言う事だ。

この作品ではそんなビリー・ジーンの私生活を赤裸々に映し出す。後に同性愛者である事をカミングアウトしているが、その難しい役所をエマ・ストーンが新境地で見せる。

また対戦相手となる元男子チャンピオン、ボビー・リッグスを演じたスティーヴ・カレルがご本人にそっくりでこれまた素晴らしい役作り。

実はあまり期待してなかったから着陸迄2時間をとっくに切ったとこで適当に見始めた121分の作品だったのだけど、着陸してシートベルトサイン消えて皆が立ち上がっても見続け最後まで完賞した。これ意外に面白かった!

公開されたら是非、新生エマ・ストーンをご鑑賞下さい。

成田⇆ホノルル UA
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