kassy

バトル・オブ・ザ・セクシーズのkassyのレビュー・感想・評価

3.4
試写会にて。

1973年にアメリカで実際に行われた男女のテニスの対抗試合を描いた作品。
その試合は女性の尊厳と権利の為の戦いであった。

楽しみにしていた作品だったのだが…個人的にはどうも乗り切れなかった。

女性の代表として一手に引き受けたビリー・ジーン・キングの人となりがイマイチ掴みきれず、人間関係も少し淡白に感じてしまった。
メインのテニスの試合も、あまり躍動感や緊迫感がなく、視点はあくまでも観客の視点に終始する為、ただ外野から眺めている客の立場で見させられた気がしてしまった。

ただ、1970年代というと、そんなに前じゃないように感じてしまうが、男女の平等化が徐々に出来ているのは最近の事であり、恵まれた環境に居させてもらっているな、と改めて感じさせるきっかけにはなる作品だ。先人たちの努力、戦いによって今の環境になっていることに感謝すると共に、昨今の映画界でも問題になっているように、現代においてもまだまだ男女の格差は根深い問題だと感じてしまう。テニスの試合はあそこで終わったが、本当の戦いは終わることはなく続いているのだ。

ビリー・ジーン・キングを演じたエマ・ストーンは普段のキラキラっぷりが抑えられて非常に地味。おそらくご本人のカリスマ性はものすごかったのではないかと思うのだが、この映画の彼女の描き方だとそこが少しわかりにくいようにも感じた。
スティーブ・カレルはボビー・リッグスの滑稽さと哀れさのバランスが絶妙であった。ご本人と似すぎではないか?
チョイ役ではあるが、アラン・カミングの存在感も良かった。

今年は同じ女性の尊厳と権利を描いたスポーツ物としてダンガルという傑作があったわけで、あれに比べてしまうと、どうも自分は楽しめなかったなと比較してしまうのだった。
kassy

kassy