柏エシディシ

バトル・オブ・ザ・セクシーズの柏エシディシのレビュー・感想・評価

2.0
まさに映画になりそうな奇妙で面白い意義深い実話なのに、40年以上経ってやっと今時分にやっと映画化されたのはやはり時代の要請が大きいのでしょうし、今だからこそ作る意味のある作品だという製作側の強い意思も感じられます。男女の賃金格差、Me tooムーブメント。LGBT問題。

反面、そういった圧倒的な「正しさ」と史実への敬意の真っ当さは作品として期待していた以上でも以下でもなく、果たしてそれが映画的な面白さになっているのかな?と思ってしまうのは、私が意地の悪い人間だからですw

エマ・ストーン、スティーブ・カレルらの流石の演技力は間違いないので一定の面白さは担保されているのですが、この二人だからこそ、もっとコメディ寄りに極端に脚色しても面白かったのかなぁ、と想像してしまったり。

あと、若干のネタバレですが。


やはり、「世紀の一戦」のスポーツ映画としての演出がやはりイマイチなのが、痛い。映画的な勝敗のロジック、テニスという競技としての勝敗のロジック共に史実に即している所為か弱く、どうしてもクライマックスが盛り上がらない。結果にも、「そりゃそうだろうね、、」としか思えなくなってしまう。
あと、リアリテイを出す為にワザとなのか、やはり主演二人のスキル的な問題か、引きのショットが多いのでは迫力も今ひとつ。相当練習したとは思うのですけれど、やはり厳しいかー

もちろん大前提として、ビリージーンキングの成し遂げた事の偉大さには最大限の敬意を表します。
ただあれから時を経ても未だ解決されていない諸問題に対するステイトメントとしてこの映画が機能するには、やはりエッジが足らないと思ったのが、いち映画ファンととして感じた正直な所でございます。
柏エシディシ

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