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バトル・オブ・ザ・セクシーズのhirogonのレビュー・感想・評価

4.0
キング夫人とボビー・リッグスのテニスの対戦のニュースは、微かに記憶に残っています。
でも対戦に至る背景に、こんな人間ドラマがあったとは知りませんでした。

当時の女子テニスチャンピオン、ビリー・ジーン・キング(エマ・ストーン)。
対するのは、既にシニア世代に差し掛かった元テニスチャンピンのボビー・リッグス(スティーヴ・カレル)。

本作は男女差別・LGBTという視点より、”自分らしく生きる”ことを描いた作品。
それは、ビリー・ジーンやボビーだけでなく、映画に登場する人物全般に言えること。
実話として実在の人物が良く描かれていて、映画としてもとても面白かった。

二人が対戦するまでの経緯が興味深く、ラストの対戦シーンでは結構感情移入しています。
だから、エマ・ストーンとスティーヴ・カレルのテニスの試合シーンは本物には及ばないとしても、練習の成果が十分に感じられる内容で声援を送りたくなる熱さがありました。


(以下、ネタバレ)
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1973年。
ビリー・ジーン・キングは、女子テニス界のトップとして活躍していた。
一方、元テニスチャンピオンのボビー・リッグスは、現役を引退して久しく、ギャンブル依存症で、奥さんのプリシラ(エリザベス・シュー)とは離婚の話がでていた。

当時の全米テニスの優勝賞金が、男子12000ドルに対して女子1500ドル。
女子は男子の1/8の賞金。そりゃ不満も出るって。
ビリー・ジーンは全米テニス協会に賞金のアップを要求するが、受け入れられず協会を追い出されて、新しく女子テニス協会(WTA)を立ち上げる。

ただ、彼女は女が優れているとか権利を声高に主張しようとしていたわけでも、男に勝ちたかったわけでもない。
”女性に対しても敬意を払って欲しい”、それが彼女の素直な気持ち。

ボビーも、単純な保守的な男尊女卑の考え方に凝り固まったおやじというよりは、当時としては普通という感じ。
自分が置かれた現状を何とかしたいともがく一人の人間であり、テニスという手段でもう一度注目を浴びるべく、ショービジネスとして女子テニスのトップ、ビリー・ジーンとの対戦イベントを希望していた。
しかし、単なる見世物になることを嫌って、彼女はボビーの申し入れを断ります。

その後、ビリー・ジーンは、美容師のマリリン(アンドレア・ライズボロー)と惹かれ合うようになるのですが、夫に対する罪悪感が付きまといます。
そして、そんな心の悩みはテニスの試合にも影響し、ライバルのコート夫人に敗戦を喫する原因となります。

ボビーは、ビリー・ジーンを破ったコート夫人に試合を申し入れ、二人の対戦が実現します。結果は、ボビーの完勝。
その後、ビリー・ジーンが、ボビーとの対戦を決意して試合に至る展開は、ラストの熱い対戦に繋がっていきます。

エンドロールで、二人のその後も説明されます。
ビリー・ジーンはラリーと離婚し、マリリンと暮らす。LGBTQの啓蒙活動にも取り組む。
ボビーは、プリシラと復縁。ギャンブル癖は止まず。

エンドロールのボビーの写真を見ると、スティーヴ・カレルのボビー役は、かなり本人に似てました!

P.S.)ラリー・キング
ビリー・ジーンの旦那さんですが、映画ではとても奥さん思いのいい夫。離婚という結末は誰も悪くないのですけど、旦那さんには、ちょっと気の毒に感じました。
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