フクイヒロシ

バトル・オブ・ザ・セクシーズのフクイヒロシのレビュー・感想・評価

4.0
『それでも夜は明ける』や『ドリーム』などの人種差別ダメよ映画は、
観客を自然と「差別反対派」に立たせて気持ちよく家に帰してあげられる。

観客はこれらの映画を観るだけで
「ほんの●●年前までこんな差別があっただなんて…」や
「いまもなお差別は残っています…」と
〝人を苦しめない側〟に立つことができます。


****


が、この映画。

「男女平等なんて当たり前だよ。男性至上主義なんてマジ恐竜!」
という気持ちでこの映画を観はじめた観客を
結構早い段階で
「…あれ、自分こそ恐竜…??」と思わせる映画ですね。

面白い。すごく面白い。実話なんだけど。


****


確かにバトル・オブ・ザ・セクシーズでしたね。

ただ、男VS女 に限ったことではなかった。
「性という概念(思い込み)」との闘いですかね。


****


期待したものと違うってのはこの映画の辛いところでもあり、
結局エマ・ストーンとスティーブ・カレルは対立した存在ではない。
あんまり関係ないんですよね、この2人。



「男性至上主義者」を一人で背負ったビル・プルマンがわかりやすい敵だけど、
エマ・ストーンやアラン・カミングの本当の敵は彼らの周りの不特定多数。


観客が自動的に気持ちいい側に立たせてくれる映画ではなくて、その点が素晴らしい。

****


とは言えテニスの試合がもうちょい盛り上がって欲しかった。

当時の中継のカメラワークを再現したのかもしんないけど、普通のスポーツ中継のようでイマイチ。。
もっと寄りの映像欲しかった。