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処刑の部屋の3104のレビュー・感想・評価

処刑の部屋(1956年製作の映画)
3.5
市川崑の大映での初監督作品。

日活で映画化された『太陽の季節』『完全な遊戯』等と同じく、当時の無責任な若者の無軌道な行動が描かれる。「太陽族」と呼ばれた手合いである。いずれの作品も原作は石原慎太郎。現在の価値観では共感し辛い、また当時はそういうものという認識を持ってしてもピンと来ない展開も多々。

ただ『太陽の~』などと違って主人公の家庭は決してブルジョワではなく、父親は胃痛を抱えるしがない銀行員(宮口精二が好演)である。特に前半はそんな家庭環境を絡めての屈折のようなものが描かれるが、主人公はじめ若者たちのパートとマッチしているとは言い難い。

若き日の慎太郎に髪型もどこか似ている川口浩が初主演で張り切っている。まだセリフ回しなどたどたどしい(というより彼はずっとたどたどしく、それがまた独特の魅力なのだ)が、初々しくそして“おぼっちゃん然”とした雰囲気ながらも“翳”のある役を演じきっている。
そんなヒロシの熱演に押されたか、ヒロイン格のあややは今作では少し目立たない印象。酒に混ぜた睡眠薬で眠らされ、そのまま浩に襲われるが(当時の慎太郎の小説らしい短絡かつ下劣な展開)、のちに襲った彼を好きになってしまう役どころ。他作品ではあまり見ない、低めの発声が耳に残る。

ストーリーを動かすのは終始男性陣だが、ラストの「処刑の部屋」で彼に“一撃”をお見舞いするのは他ならぬ彼女である。このあたりの展開、特に川口浩が発した女性観を表すセリフなどに原作者の女性蔑視ぶりが露われている。

劇中、おそらく実際の早慶戦とその勝利後の学生達の騒ぐ様子が出てくる。当時の学生野球の人気ぶりがうかがえるというもの。