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処刑の部屋のfuoのネタバレレビュー・内容・結末

処刑の部屋(1956年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

原作では終盤、島田克巳(川口浩)が彼の腹から腸が出るほどのリンチを受けますので、比べると随分表現は優しくなっています。

堕ちた川口浩がメインの作品ですので、若尾文子ファンの方はあまり満足できないかもしれません。

今作品では、頼りない父(宮口精二)と立場のない母(岸輝子)に失望し、将来の展望も描かず女遊びに耽る、堕落した大学生(川口浩)の様子がひたすら描かれます。

父から逃げた教授(中村伸郎)を思い切りビンタする場面は、不謹慎かもしれませんがこの作品で唯一、島田克巳に好感を持ちました。

また、青地顕子(若尾文子)がレイプされていながら交際を求めるという展開には、どうかと思いましたが、終盤に「笑わないで」と叫びながら涙を流す場面は印象的です。

自分が捨てた顕子に足を刺された後、「痛いなぁ」、「痛ぇなぁ」と這い蹲る克己が強烈でした。その後助かったのか明示されませんが、その時感じた様々な痛みを市川崑は強調していたように思います。
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