古美術商の小池（中井貴一）と陶芸家の野田（佐々木蔵之介）が利休の贋作で因縁ある古美術売買の世界で大勝負に出る。
この映画は、次々と場面が入れ替わっていくような早いテンポではありません。しかし、ゆっくりと、じっくりと、ねっとりとした濃密な会話劇にひたれます。最初は今の流行の映画のテンポと違うので戸惑いましたが、慣れてくるとこの時間の使い方は癖になります。この濃密な時間を作り出しているのは役者さんの演技と魅力。主演の二人もさることながら、近藤正臣、寺田農、芦屋小雁、木下ほうか、坂田利夫、桂雀々などなど出演陣は円熟期に入られた濃い人ばかり。落ち着いた大人のコメディが楽しめます。
小池と野田は出だしで一悶着あるものの、自分たちの利害が一致するとわかれば、すぐに手を組みます。人間ていうのは恨み辛みで生きてるものですが、損か得かという考えが複雑な感情を乗り越えることがある。商売人の清々しさみたいなものを感じて気持ちよかったです。映画の中では騙しあいが続くのですが、そこには損と得しかないというのが面白い。観ていて気持ちよく笑うことができました。
最後にどーでもいい苦言を（笑）
この映画、関西が舞台ですが、まーた「1985阪神日本一」のネタが出てくるんですよ。「バース」「バックスクリーン3連発」とかもういいんじゃないですかねえ（笑）いつまでやるねんと。関西人はいい加減次に進みましょうよ
でも、「みとれよあいつら、槇原みたいにしてもうたる」の台詞は自分も大爆笑したんですけどね
