香港ノワールの名監督なのだそうですが、初めて観ましたリンゴ・ラム。しりとりの御手つきを無理くり回避しようとして口走ったみたいなお名前ですね…。ヴァン・ダム作品をよく撮っているみたい。ヴァンダムに気に入られるって、どんな気分?
今作は、所謂ノワールでは無いですね。サスペンス・アクションとかかな?タイトル、なんとなくユーロビート感が有り、センスにちょっと不安を覚えてしまいますが…。
ダメージを受けた臓器をバリバリ復元する夢の新薬(それ、ips細胞のこと⁇)を巡る争奪戦。超高層(888m!)の総合医療センター〈スカイ・ワン〉が舞台。
かつて自らの師パンを殺めたうえ研究ノートを強奪し、それを基に新薬を完成させた、金の亡者のタン。タンに父を殺され、新薬を奪回しようと目論むジワン。この二手の争いをお話の核として、正しい行いをしたいスカイ・ワンの警備主任のティンボ(主人公)、血の繋がらない妹ジェーンを末期癌から救ってやりたいトラック運転手のジウ、タンの妻で優秀な研究者のコウユが入り乱れ、…しっちゃかめっちゃかになります!
お話の流れは、新薬を奪ったジワン→追うタンの部下→それより妹を助けろと暴れるジウ→逃げるジワンたち→追うタン→暴れジウ→そろそろ洗濯しようかな?→「佐川急便でーす!」お、忘れてた→お腹すいたな、お風呂入りたくないな…etcからの高層医療センターでの大暴れ…て感じで、満遍なくカーチェイス・格闘・銃撃戦が盛り込まれてます。退屈しない!
登場人物がちょっと多くて、それぞれ多面的な真理の働きがあるので、ちょっと気を抜くとお話の進行を見失いそうです。
ティンボは元々タンのの下で働くポジションなのですが、タンの悪党ぶりにジウ+ジワン側に回ります。もう、タンが悪い。分かりやすく悪い。細身のテカテカしたスーツで葉巻スパー、です。タンの部下の事件屋ウルフが格好良いですよ!ティンボvsウルフの、喧嘩とMMAの中間みたいなバトルがグッと来ます。擦りまくるカーチェイスも好きでした。銃撃戦だけは、ジョニー・トーの完全にどうかしてるガンアクション見慣れてるだけにちょっと物足りない。左右に分かれて適当に撃ってるだけみたい…。
ちょっとフレッシュだったのは、近年の映画ではあまり見かけないくらいに火ダルマシーンが多かった!まあ、デジタルでチョチョイかとは思いますが。
一応病院が舞台なので、ヒューマニズム的な問い掛けが有るには有るのですが、“お金より命は大事”位で言い得る様な薄い内容です。そもそも末期癌が投薬だけで全快する設定ですからね!
ティンボ役ダニエル・ウー、滅茶苦茶香港ノワール顔ですね。スタイルも良くてアクション映えます!
トラック運転手のジウ役、ジョセフ・チャン。朴訥フェイスに、パッと見に分かるガタイの良さ。骨格が違う!“技術とか無いけど天性のセンスで危機を脱する”って役回りにピッタリです。
ジウの妹ジェーン役、アンバー・クオ!滅茶苦茶可愛い。滅茶苦茶可愛い。ベリーショート。ベリー…。伝わらないと思いますが、ジャズシンガー系のルックスです。それか若かりし日の戸川純。ヘナヘナした喋り方は凶器!人間凶器!ヤバい!!
…と、ここまで割とフツーのおかしな映画の様な感想ですが、ラストに度肝を抜かれます!!!!正に『スカイ・オン・ファイア』!コ、コラテラルダメージ…。正義とは⁈
まあ正直言って欠点も多い作品だとは思うのですが、久し振りにコメディ感のない香港ノワール(?)が観られたので、大満足の甘々です!
近年、安定した質と量の韓国映画にシェアを喰われている(単に本数が少ない?)感がありますが、香港ノワールでしか得られない感覚というのが間違いなく有るので、是非もっとどんどん作って欲しい…というかジョニー・トーが観たい!ヒーロー・ネバー・ダイ!ラム・シュー寄越せ!
あと、愛犬家さんは閲覧注意かな、と…。
🐕 🚗💨