新垣結衣の可愛さで引っ張るだけの映画でしょ?という先入観が逆に功を奏したというべきか、意外に大人のドラマで楽しめた。考えてみればガッキーももう30歳。学生ノリのスポ根コメディなら、時代はもう広瀬すずや土屋太鳳に移行しているわけで、本作の大人向けなディレクションは至極当然の流れなのだと思う。
中盤から正体が明らかになっていく瑛太を筆頭に、役者陣がとにかく豪華で、全員に存在意義とドラマがある。中国人役の蒼井優や、ドラアグクイーン役(明らかにヘドウィグを意識している!)の生瀬勝久も、ちょい役でありながら存在感抜群で嬉しくなる。
というわけで、ガッキーの可愛さを求める人には、やや地味な印象を与えてしまう作品と言えるだろうが、既に挫折を経験した大人達が卓球を通じて心を通わせていく様を丁寧に描いた、「辛口」の群像劇に仕上がっている。本作は学生が自己実現を目指すタイプのスポ根ドラマではなく、傷ついた人達が出会い、ぶつかり合い、助け合う姿を描いたドラマなのだ。だからこそ題材は「卓球」でも「ピンポン」でもなく「ミックス」。タイトルに偽り無し!
なぜレビュー内の「辛口」をカッコ付けにしたかは、観た人なら分かるはず(笑)