touch

メアリーの総てのtouchのレビュー・感想・評価

メアリーの総て(2017年製作の映画)
3.6
"見よ 怪物に命が宿る"
* * *
数々の作品に影響を与えてきたゴシックホラーの傑作『フランケンシュタイン』を18歳の若さで書き上げた女性作家:メアリー
彼女の波乱に満ちた人生を詩情豊かに描く。
.
恥ずかしながら、『フランケンシュタイン』の作者が女性だったことを本作で初めて知った。
愛した男性に裏切られ、生後すぐに亡くなってしまった娘への深い悲しみと執着の彼方
持たざるもの、人権を虐げられたものの苦しみを怪物に重ねる。
『フランケンシュタイン』が多くの苦難を経て生まれた作品だったことを思い知らされる。
.
まだ女性の社会的地位が認められていなかった1800年代のイギリスが舞台
女性が書籍を出版すること自体が珍しかった時代、ジャンルモノの怪奇小説を単独で発表することは困難であった。
それでも諦めず匿名出版を経て、最後には実名出版を実現した芯の強い彼女のルーツには、
フェミニズムの草分け的存在の実母メアリ・ウルストンクラフトの存在があった…
.
とにかくキャスティングが素晴らしい。
エル・ファニングは期待通り、儚げで闇のある役がピッタリハマっていた。
旦那役のダグラス・ブースの口先野郎っぷりも見事だし、『マイ・プレシャス・リスト』のベル・パウリーはしたたかだけど報われない哀しみを演じきっている。
『ボヘミアン・ラプソディ』のベン・ハーディの温かみのある好青年っぷりも良かった。
.
初対面のパーシーにいきなり口付けしたり鼻血を額に塗ったりと、バイロン卿のエキセントリックな言動が特に印象的だった。
"視野を広く持て"ってやつ、真似してみたいな…
touch

touch