小一郎

メアリーの総ての小一郎のレビュー・感想・評価

メアリーの総て(2017年製作の映画)
3.8
フランケンシュタインの怪物の物語が18歳の若い女性作家によって生み出されたことは知っていたけれど、小説は未読。これは読んでいた方が吉だと思う。

人間の心を持ち、人間に認められたいと願っているけれど、醜い姿から誰もから忌み嫌われる怪物。それは自分自身であるという「フランケンシュタイン」の生みの親、メアリー・シェリーが小説を書きあげて世に出すまでの数年を描いた物語。

映画を観る限り、生まれてすぐに母を失ったからか、メアリーは困難に陥ったとき、支えてくれる人がいない。本当は愛情が欲しいのに、無神論者でアナキズムの先駆者であった父の影響で、人の情よりも理性を重んじることを植え付けられた(のかな?)彼女のせいかもしれない。

父に歯向かうように駆け落ちしたけれど、相手の詩人パーシー・シェリーも、結局は父と似たような感じのよう。メアリーが人に愛される実感を持つことのできないでいる姿を描くことで、彼女が自らの葛藤を「フランケンシュタイン」の物語へと昇華したであろうことが伝わってくる。

女性が本を出版するのに苦労する話も出てくるけれど、女性の権利が制約されているサウジアラビアで初の女性映画監督となったハイファ・アル=マンスールが監督。ラストは監督の思いのような気がする。

●物語:3.5
・小説「フランケンシュタイン」を読んでいれば、もっと思うところがあったかも。

●他 :4.0
・雰囲気が良かった。