あもすけ

メアリーの総てのあもすけのネタバレレビュー・内容・結末

メアリーの総て(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

最後の最後まで、自分の言葉を尽くしたこと。自分の声を聴き、自分の言葉を持ちながら、対等に言葉を交わすことすらままならないなかで、諦めずに闘って、どうにもできなくて、ひとつの妥協を受け入れながら悔しさを噛み締めて、でも報われることとなったのは、これまで積み重ねてきたひとりとひとりの関係そしてそこに確かにあった尊敬と愛で、言葉の総てを無闇に受け入れ呑み込まないこと、受け止めたうえで自分の言葉を伝えることこその関係を貫いて愛があったことに凄く力をもらえた。メアリーと関わる彼らの、だらしなかったり、不誠実だったりするところが露呈しながら、時代によるものだとしても酷い偏見がちらつきながら、でもそれだけじゃなく、その不完全なひとりひとりが、芸術に向ける己の眼をちゃんと持っていたことが描かれている。そこが塞がれてしまわなければ、いつだって、どんなに微かでも、救いに繋がるような気がする。
孤独と向き合い書き上げた物語が、彼女には伝わっているのだ、と実感する場面、救いのない物語に心を寄せて目を潤ませる表情がたまらなかった。
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