全世界70億人が崇める我らが女神エル・ファニングが「フランケンシュタイン」の著者メアリー・シェリーを演じた伝記映画。
フランケンシュタインといえば勿論アレだ
「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」
そうかアレの原作者か(付け焼き刃の知識なので誤りがあるかもしれません)
※このレビューはエル・ファニングに対する偏愛、賛美、信仰及び作品のネタバレが含まれている上に長いです。
19世紀イギリス、小説家を夢見るメアリー・ゴドウィン(エル・ファニング)は異端の天才と呼ばれるロマン派詩人パーシー・シェリー(ダグラス・ブース)に出会う。パーシーはすでに妻子を持つ身だったが、父の反対を押し切り二人は情熱のままに駆け落ちする。ついてきた義妹のクレア(ベル・パウリー)も加えて新しい生活が始まるが、幸せの日々は長くは続かずメアリーに数多くの不幸が襲い掛かる。
「私の魂には不可解な衝動がある」
とりあえず、旦那のパーシーのタマを蹴り飛ばしてやりたい衝動にかられた。これは不可解な衝動ではない。これほどお父さんの味方をしたくなる駆け落ちも珍しい。
後に出会うバイロン卿(トム・スターリッジ)、あまり史実の人物を悪く言うもんじゃないがこいつの所業もかなりのダメ男で、そのモサモサ頭をバリカンで刈り取ってやりたくなる
バイロン卿のもとで出会うDr.ポリドリ(ベン・ハーディ)はこの作品において絶滅危惧種の善良なイギリス紳士、そう彼こそが紳士。しかし彼が最も報われない生涯であることがエンドロールで語られる。
ある日、気分転換に連れられた劇場の見世物でカエルの死体と電流を使った蘇生の実験を観る。科学に関心があるメアリーは興味を持ち死生観に影響を受け、後に書く「フランケンシュタイン」のインスピレーションを得ることになる。
幸せと不幸の乱高下が激しいメアリーの人生(大体旦那が原因)。パーシーとの間に子供を授かるも、場面が変わって5分後には亡くなってしまう。わが子を失った中、著名な詩人であるバイロン卿に家族で招かれ彼の豪邸に滞在する、ここから旦那のダメンズぶりが加速していく。何度もエルを傷つけるこの男に往復ビンタしたくなること必至。
長い雨が降り暇を持て余したところバイロン卿が「みんなで一つずつ怪談を書いて披露しよう」と提案される。道徳に反した恋愛をするも今は夫婦の間には隙間風が流れ、深い孤独と喪失が渋滞するメアリーの中で「フランケンシュタイン」が形となっていく。
女性作家で怪奇小説、しかも歳は18歳で旦那は著名な詩人ということで出版社に持ち込むもことごとく偏見と疑いの目を向けられる。ようやく小さな出版社から発刊されるも著者は匿名にされる。
19世紀の街並みと衣装の再現に目を奪われるし、そして何よりもエル・ファニングが美しい(大事)
序盤の先の見えない将来に淡い希望と不安を滲ませるエル。
パーシーとの恋愛観の相違や我が子の急去で曇っていくエル。
自らが書き上げた怪物を世に出すため、一人の作家として立ち上がるエル。
18歳の作家メアリー・シェリーをほぼ同じ頃のエル・ファニングが好演。確かにこのタイミングでこの役ができるのはエルしかいなかったかもしれない。
2時間の伝記映画で作中の時間は2年くらいで起こったことを描いている、この間に起こったことが半生として映画になるくらい波乱万丈。なおメアリーについてググってみたら、彼女の不幸はこれで総てでは無かった…
「フランケンシュタイン」の誕生に興味のある人に勿論お勧めできるし、この世の終わりみたいなエル・ファニングに惹かれてしまう人にも強く推奨する作品。
女神エル・ファニングを祀るエルテノン神殿を建造したい。