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メアリーの総てのRAYのレビュー・感想・評価

メアリーの総て(2017年製作の映画)
3.7
“プロメテウス”


この物語は小説『フランケンシュタイン』の著者である、イギリスの小説家・メアリー・シェリーが『フランケンシュタイン』を完成させるまでの物語です。


先に感想を言うとするなら、面白かったと言うよりも、エル・ファニングの魅力が詰まった美しい映画でした。
衣装も装飾品も、色遣いも。
すべてが彼女の為にある様な。
そんな作品でした。

だけど、この作品の魅力はそれだけではなかったんだなと観終えてから分かりました。


僕は、『フランケンシュタイン』こそ知っているものの、作品を読んだことはありません。
『フランケンシュタイン』の原題は『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』(Frankenstein: or The Modern Prometheus)。
この原題を知った時、メアリーと言う人物をはじめて想うことが出来ました——何しろ僕は、映画のほとんどをメアリーのラブストーリーだと思いながら観たのですから。


プロメテウスとはギリシャ神話に登場する神のことだけれど、重要なことのひとつは、プロメテウスという名前の意味だと思っています。
プロメテウスとは“前もって考える人”の意。
19世紀、女性が非常に生きづらかった時代の中で、メアリーというひとり女性にその意味を重ねずにはいられません。
また、“プロメテウスの火”の話にもまた、彼女の人生に似たものを感じてしまいます。
まさに、『フランケンシュタイン』には彼女の“総て”が詰まっているのかもしれません。

いつか、機会を見つけて『フランケンシュタイン』も読んでみたいと思いました。


繰り返しですが、エル・ファニングの魅力がとても感じられる作品なので、彼女が見たいという理由だけでも十分楽しめる作品だと思います。

ただ、宜しければメアリーの人生について考えながらご覧になって頂くと、より深く楽しめるのではないかと思います。


観て良かった。
RAY

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