朝田

ティーンスピリットの朝田のレビュー・感想・評価

ティーンスピリット(2018年製作の映画)
1.6
一言で表せば、単なるエル・ファニングのミュージック・ビデオ。表面的なスタイリッシュさのみを追及した、何の描写にもなっていないショットが延々と続くあまりに空虚な95分。オープニングから、音楽に合わせ時間軸をシャッフルしたエルファニングの日常が紡がれるが、そもそも時間軸のシャッフル自体に全く意味が無い。そしてその一連のシークエンスだけでエルファニングの内面や生活を説明した気になっている、作り手の浅はかさには言葉を失う。実際どのような人物として学校生活を送ったり、普段の仕事をしているのかが全く伝わらない。しかもそのパターンで状況を語るシークエンスが劇中で反復されるため、極めて単調。エルファニングと厳しい母と打ち解けていく過程や、バンドのボーカルとの恋愛ドラマ、マネージャーのバックグラウンドなど映画にとって重要な要素が何一つ満足に語られない。そもそも作品の前提となる何故エルファニングが歌手という仕事に惹かれるのか?という所が全く見えてこないため、いくらストーリーを展開された所で一切こちらの感情が動かされない。そのため後半の楽屋裏の長回し(バードマンの劣化コピーのようだった)も何の緊張感も発生しない。またオーディションで、何故エルファニングだけが特別視されるのか?という理由が一切具体的に語られないのも致命的。オーディションの場面も何故かミュージック・ビデオ的な音楽と同期させた雑なカット割で語られているため、他の歌手志望の人間との関係や、彼女自身の不安も何も感じられない。エルファニング以外のボーカリストたちの個性や才能を描いたシーンも全く無いため、歌のバトルとして見てもスリルに欠ける。エルファニングが、マネージャーと共に歌をいかに上達させていくか?というプロセスも圧倒的に足りないため、ラストのカタルシスも欠ける。スローモーションを多用するような小手先の手法を駆使する割には音楽ドラマとしても青春ドラマとしても描写が不足し過ぎている。極めて退屈な一作。いかに雑な脚本と演出の中でも衰えないエルファニングの可愛さだけが救い。無駄遣いには間違いないが。