このレビューはネタバレを含みます
観賞時、自分の中にあまりにも何も残らなかったので、「不感症になったかな?」「もうティーンの男の子の機敏にはついていけなくなったのかな?」と別の恐怖で震えました笑
心理サスペンスもディストピア感も説明なしで見せられる異常事態もいわゆるモンスターの不在も大好物なのですが…
そして考えたときに、私はこれらの要素を『ミスト』に求めていたのだなあ、と感じました 。(別作品のネタバレになるので言えませんが、届け!この思い!)
じゃあ、私が逆にこの作品に求めていたものは?
①物語への没入感
②この世界で生きることへのわずかな喜び
①[没入感]
この作品には余白が多く、「誰が真実を言っているのか?何が正しいのか?」と疑心暗鬼にさせられます。それゆえ、つい一歩下がった「事件を俯瞰して見る探偵(もしくは批評家)」みたいな目線になってしまったのです。それによって、当事者目線の没入感は消えてしまう。
ミステリではありがちなことですが、ミステリにはそれこそ「探偵役」が存在し、その人物の視点に立つことで物語に入り込める。
ですが、この作品は探偵不在のミステリなので、余白は自分で想像し、答えは出ない。
しかも「信頼できる登場人物」も「完全なる悪」も存在しない。 それがどうしても額縁の外の安全なところから見ている気分になってしまったのです。
②[生きる喜び]
子どもに自分のクレヨンを貸してあげたり、深夜の人妻とのどきどき密会など、他者が来ることで精神的に救われる描写はあったのですが、
もう一歩お互いに信頼し歩み寄りこの狭い世界のかけがえのない存在足り得たら、クライマックスにかけての絶望に拍車がかかったのではないかしら、と。
単純にそういうキラキラした輝きを映画で見たい、という私の好みですが…
関係性が最初から最後まで(精神的に)変わることがなかった、というのに少し残念です。
色々と書きましたが、前情報なしなのに期待度が高いせいで、ハードルがあがってしまった気がします。また、映画館で集中して観れてたらまたちがったかな?