回想シーンでご飯3杯いける

インビジブル・ゲスト 悪魔の証明の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.0
2012年の「ロストボディ」で鮮やかなどんでん返しを披露したスペインのオリオル・パウロ監督による新作。Filmarksの情報から、今回もどんでん返しがあるという事だけを仕入れて鑑賞した。

不倫相手を殺した容疑で出廷間近の実業家ドリアと、弁護を担当する女性グッドマンによる密室での会話劇が中心。グッドマンが淡々とした早口なので、会話の内容に必死で食いついていく必要がある。逆に言えば、サスペンスとしては濃密かつクールで、良い雰囲気だ。

「ロストボディ」以上に大技などんでん返しがあり、それなりに楽しめた物の、やはりこの監督の作品は、あくまでどんでん返しありきな作風で、そこまで謎を引っ張る為に登場人物の描写が薄口になってしまうのが難点。犯行や黒幕の背景にあるドラマや心理描写が希薄なので、驚き以上の感想が特に出てこない。言い換えれば、良質なサスペンスを観た後に必ず湧き起こる「黒幕を分かった上で最初から見直そう」という気持ちが全然出て来ないのだ。

作品の存在が、ドラマというより、カードゲームや、戦略性の高いスポーツに近い感じだと思う。