HARUSUI

アフターマスのHARUSUIのネタバレレビュー・内容・結末

アフターマス(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

あらすじも見ずに、パッケージの航空機写真だけでレンタル、観賞致しました。

観はじめてから、これはサスペンスでもアクション映画でもない、ヒューマンドラマだと気付いて、観る視点を変更。怪しい人物とすれ違っていたとか、主人公らしき初老の男性が、救助に向かうのか?とかすべて、かなぐり捨ててヒューマンドラマの心構え観賞です。

あー心が痛い。辛い。これが実話って、この双方の心情が、もう、辛すぎる。
最後まで見終わった感想は、このような心の悲鳴です。
映画を見終わって、現実の事件事故も調べました。完全にスパッと一刀両断の史実が記載されていたため、それはそれで切り離して、映画のみの実際を綴ろうと思います。

2機の飛行機が空中衝突、分解し、生存者は0という航空史上、最悪な事故が生じます。管制塔内の電話回線の不具合、管制官の一人は休憩中で、現場には一人しかいなかった、衝突防止装置に従ったパイロットと管制官の疎通問題、複数の問題を同時に解消しなければいけない状況など、管制官の人為的ミスによるものでした。
主人公の初老の男性ローマンは、妊婦の娘と娘を迎えに行った妻を空港に迎えに行きます。久しぶりに会う娘を思うと、とても嬉しくてウキウキしてしまいます。ところが、カウンターで飛行状況の確認をしたところ、別室に案内され、専門チームから事故の事実と生存は絶望的だと説明されます。

もう一人の主人公、管制官のジェイクは、自分の目の前のレーダーで2機がまさに接近すれすれ、警告ランプが点灯していました。必死で指示を出そうにも、時すでに遅し。レーダー内から2機の姿がフツっと消えます。茫然と佇み、周りを意味もなく見渡し、再びレーダーに目をやり、茫然。

このシーンは、そうそう、人間にわかに信じられないものを見たときって、こういう仕草になると、演技の上手さに感心しました。

ジェイクは、沢山の聴取と警察での取り調べを受けるうちに、現実が耐えきれるものではない自己の責任に気付き、抑うつ状態になります。
一方のローマンも家族をすべて失い、精神崩壊の一歩手前です。毎日毎日、飽きることなく妻と娘のお墓の前で過ごす日々。
ジェイクには妻と小さな息子がいますが、息子サミュエルの環境を考え別居します。
抜け殻となったジェイクに、会社は退職と新しい住所、新しい氏名を提案します。
自殺ように購入した銃。そしてカウンセラーの処方した薬を過量内服するジェイク。

本当に観ていて辛いです。
故意ではないけれども200名越えの死者を出した原因が自分にあると、どん底の精神状態の航空側の人間。
一番大切な存在を一気に奪い去られて、謝罪の一言も、もらえていない被害者遺族。一人、職場であった建設中のビルの屋上に佇み、妻と娘が、どんなに恐怖と苦痛で最期を迎えたか考えてしまう。
この二人の葛藤が、ものすごく重いです。
途中の3人組弁護士の、何様ですか態度は、必要だったのでしょうか?
ただ、ローマンの謝罪をしてほしいという願いを前面に出せばよかっただけではいけなかったのかなぁと考えてしまいます。

1年後、主人公二人は各々、社会復帰をとげ、淡々と日々を過ごしていました。
ローマンは1年前から一人の記者から取材を受けています。事実を本にするという約束の元に。
ジェイクも、また同じ記者と接触をしていました。本の最後に載せる何か言いたいことはないかと聞かれ、自分は悪者ではない
、と言います。この言葉は2、3回ジェイクの口から発せられているのですよね。言葉通りの意味ではないと思われます。自責の念がなければ、こんなにひどい精神状態にはならないはず。

ローマンは記者にジェイクの居場所を調べてほしいとお願いします。
そして記者さん、それ教えちゃダメでしょう。
ラスト15分、どうして??
と思わず呟いてしまう出来事が発生。
なんでー?二人あんなに、それぞれ乗り越える最中だったんじゃないの〜?です。

報復連鎖。観終わって、この言葉が浮かびました。
故意ではなくミスで生じた事故、被害者200人以上。
故意で殺意を持って生じた結果、被害者1名。
どちらが重い責任か、どちらがひどいのか、そんな考えも浮かびました。けれども、この映画はそこを追求しているのではないのでしょう。航空機事故にまつわる双方の葛藤、拝見いたしました。