未島夏

火花の未島夏のレビュー・感想・評価

火花(2017年製作の映画)
3.8
生粋の関西人である主演二人故の役に対する軽妙な咀嚼が、秀逸な掛け合いの滑らかさを生み出しそのまま作品の鮮血となる。
人物同士の関与と影響へのアプローチが浅めにも関わらず心理が繋がる事や、ラストステージのリアリティと熱量が維持出来ている勝因もやはりここにある。

そして主演二人の掛け合いにスパートがかかる程、神谷への失望の蓄積が一際物語への亀裂を深める。

芸に比喩される「他者への関与」、『引退なき芸人』による挫折への力説。
上げ損ねた花火の残り火、その火花の最期の一筋までを肯定する。

ステージへ向かう者達の背中に映る熱情は、分かる人に分かればそれでいい。
未島夏

未島夏